本エントリーは怖い話を扱っております。ご注意ください。
皆様は人気のない夜道を歩くことがございますか?
住宅街なんかにお住まいの方にとっては、夜の帰宅の際に必ず人気のない道を通らなければならないわけで…。なんだか後ろが気になるときもありますよね。
ほとんどの場合、ただの気のせい。しかし、時に誰かがいることもあるようです。それが普通の通行人ならばいいのですが、海外ではそんな暗い夜道に現われる怪人に関する噂が語られております。
その怪人の呼び名は
The Smiling Man(笑う男)
彼は夜道に現われ執拗に追いかけてくるそうです。
今回は海外から『The Smiling Man』の噂をご紹介したく存じます。
The Smiling Man
以下は海外の都市伝説を翻訳したものです。
夜の散歩
約5年前、私はアメリカのとある大都市のダウンタウンに住んでいました。私は重度の夜型人間で、ルームメイトが早々と寝てしまったあと、何もすることがなくなってしまうということが多々ありました。そんなときは時間つぶしに、ちょっと遠くまで散歩に行きました。考え事をするのにいいんです。
そんな感じでその町で4年間生活していて、よく夜道を1人で歩いていたのですが、恐怖を感じるということは一度もありませんでした。心配してくれたルームメイトには「ヤクの売人すら親切だったよ」とよく冗談なんかを言っていました。
しかし、その認識もすべてたった一晩、たった数分の出来事で変わってしまったのです。
帰り道に遭遇
それはある水曜日のことでした。午前1時から2時くらいでしょうか、私はアパートからかなり離れた公園の近くを歩いていました。
静かな夜でした。平日の夜なのに車はほとんど通らず、歩道にも誰もいませんでした。また深夜だったものですから、公園内にも人っ子一人いませんでした。
あらかた散歩に満足した私はアパートに戻るべく、道を振り返りました。そのとき初めて「彼」の存在に気がついたのです。
その通りのはるか向こう、私の歩道側に、男の影が見えたのです。踊っていました。その踊りはワルツに似た奇妙な踊りで、彼はボックスのステップを踏みながら滑るように前進していたのです。
つまり彼は踊りながら私の方に向かってきていたのです。
笑う男
夜道に恐怖心なんてなかった私はただ彼が酔っているのだろうと考えて、その道を進むことにしました。徐々に彼は近くなり、彼の動きがあり得ないほど滑らかであることがわかりました。彼は非常に背が高く、古びた奇妙な背広を身につけていました。
さらに近づいて彼の顔がはっきりと見えました。
目は野獣のように見開いていて、頭は若干後ろに傾き、空を見ているようでした。そして彼の口はアニメキャラクターのそれのような形をして笑っており、痛々しさが感じられました。
避けようとするも
私は通りの反対側の歩道に行こうと咄嗟に彼から目線を逸らしました。反対側の歩道に着いて改めて彼の方を見ると、彼は踊りを止め、片足で立っていたのです。完全に私と向かい合う形で。彼は私の方を向いていたものの、それでもまだ空を見ていました。そして口は笑ったままでした。
私はもう何が起こっているのか、どうしていいのかわかりませんでした。私は再びアパートへと歩き始めましたが、常に彼の方をじっと見張っていました。その間、彼は一切動かず。
ようやく彼との距離が半区画分くらいになったころでしょうか、私は彼から目を離し前の通りを確認しました。誰か人が来てくれれば安心かと思ったのです。しかし前方には誰一人としていませんでした。
がっかりして再び彼のいた場所に目をやると、彼の姿は消えていました。安心したのも束の間、私は彼がいなくなったわけではないということに気がつきました。彼は通りを横切って、私側の歩道で中腰になっていたのです。距離ははっきりとはわかりませんでしたが、彼は私の方を向いていると確信できました。
さらに彼から目を離していた時間は10秒ほど。それを踏まえると彼はかなり素早く動いたのです。
再び動き始めた
私はショックを受けて、しばらく唖然と立ち尽くし、彼を見つめていました。そして彼は私の方に向かって再び動き始めたのです。彼はアニメキャラクターが忍び足につかうようなつま先歩きで、しかし大股で迫ってきました。
その動きからは想像も絶するスピードでした。
(参考)
この時点で急いで逃げ出すか、護身用のスプレーなり携帯電話なりを取り出せばよかったと思います。しかし私はしませんでした。近づいてくる「笑う男」の恐怖に完全に萎縮し、その場で立ち尽くしてしまっていたのです。
車
ふと、彼の動きが止まりました。遠くから車が走ってきたのです。でもいまだに笑って空を眺めていました。
私はついに意を決して、頭に浮かんだことを彼に向かっていってみることにしました。
「なにが目的なの?!」
怒りを込めて、あくまで強気に…言い放つべきでした。怖い人かどうかは関係なく、相手に言葉は通じるはず。しかし実際に声に出せたのは
「なに…」
という囁きでした。
そんな頼りない自分の声を聞いて、逆に恐怖心が強まりました。彼は何の反応も示さず、ただそこに立って笑っているだけ…。
離れた?
こうして対峙している時間は永遠のように感じました。すると彼はクルっと振り向き、ゆっくりと例のダンス歩きで離れていったのです。
いつ彼がまたこっちを振り返ってくるかわからない、そう思った私は彼が行ってしまうまで注視することにしました。彼が視界から消えようかというくらい遠くに行くまで見ていました。
…気づいたのです。彼はもう動いていませんでした。踊ってもいませんでした。それどころか彼の影がだんだんと大きくなっていったのです。そう、彼は再び私の方に向かってきていたのです。そして今度は猛スピードで走っていました。
私も走りました。
私は脇道を出て、そこそこの交通量のある通りに戻るまで逃げました。後ろを振り返ると、彼の姿はどこにもありませんでした。残りの帰り道、あの笑顔が肩ごしに現われるかもしれないと気が気じゃありませんでしたが、彼は決して現われませんでした。
おわりに
その夜の後、6ヶ月間、その町に住んでいましたが、散歩に出ることはありませんでした。彼の顔にはどこか私をどこまでも呪い続けるようなものを感じたのです。
彼は酔っ払っているようにも、ハイになっているようにも見えませんでした。明らかに狂人だったのです。本当に怖い経験でした。
まとめ
「笑っていればなんとかなる」とでも…いうのだろうか…
最後までお読みくださいましてありがとうございました。