皆様は東京ディズニーシーのアラビアンコーストにある『シンドバッド』を題材にしたアトラクションをご存知でしょうか。
現在は『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』というアトラクション名で運営されております。
実はこの『シンドバッド』のアトラクション、ディズニーシーの開園時(2001年)からあるアトラクションなのですが、一度大規模リニューアルを行い2007年に再び竣工したアトラクションなのです。
シンドバッドのリニューアルの理由は何であると思いますか?
実は
リニューアル前のシンドバッドが
怖すぎたから
なのです。
今回はディズニーシーから『シンドバッド』のリニューアルについてご紹介したく存じます。
目次
ディズニーシー「シンドバッド」の概要
ディズニーシーのシンドバッドのアトラクションは前述の通り
『シンドバッド・セブンヴォヤッジ』から
『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』に
リニューアルされております。
まずは全体的な説明からさせていただきます。
リニューアル前後の共通点
所要時間:約10分
定員:25名
テーマは「航海」
『シンドバッド』は船乗りの物語でございます。
さらにディズニーシーのコンセプトも「海」。
このシンドバッドのアトラクションも水を多用しております。
イメージとしては東京ディズニーランドの『カリブの海賊』や『イッツァスモールワールド』と同じように水の上を船型のライドに乗って進むアトラクションとなっております(急降下はございません)。
ディズニーシーで最多のオーディオアニマトロニクス
また、東京ディズニーランドの『カリブの海賊』、『イッツァスモールワールド』と同じくオーディオアニマトロニクスを全体で使用しており、アトラクション内の効果音や歌が人形の動きに合わせて奏でられるので、臨場感溢れる体験ができます。
シンドバッドではディズニーシーの中で最も多くオーディオアニマトロニクスが使われております。したがって、シンドバッドの建設にかかった費用は莫大なものであったと思われます。
主人公はシンドバッド
主人公は『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』に登場する船乗りシンドバッド。
アラビアンナイト シンドバッドの冒険(amazon)
ただ、ディズニーシーのシンドバッドのアトラクションにおいては、リニューアル前と後で、シンドバッドの描かれ方も違うので、前後では別人と捉えたほうがよろしいかと存じます。
さて以下より、リニューアル前後の大まかな設定の違いを見ていきましょう。
『シンドバッド・セブンヴォヤッジ』(前)
リニューアル前の『シンドバッド・セブンヴォヤッジ』はその名の通り、シンドバッドの7つの航海を題材にしたアトラクションでした。
『千夜一夜物語』もシンドバッドに関しては7つの冒険を描いておりますが、ディズニーシー版ではその世界観を踏襲しつつも、描かれるシンドバッドの物語自体は異なるものになっております。
ストーリー
船乗りのシンドバッドは若くして父の莫大な遺産を引き継ぐものの、浪費してしまい、生計に困ってしまいます。
そこでシンドバッドは一攫千金を狙って、残された財産で帆船を購入。財宝を探す航海に出ることにしました。
財宝までの7つの苦難を乗り越え、シンドバッドは無事、故郷のイラクに戻ってくることができるのでしょうか?
キャスト
実はリニューアル前のシンドバッドの声は俳優の唐沢寿明氏が演じていらっしゃいました。
『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』(後)
『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』も『千夜一夜物語』のシンドバッドを題材にしていることは間違いございません。
しかしながら、リニューアル前に比べてシンドバッドを正義の味方に脚色している感が強いです。
さらに、リニューアル後は子トラのチャンドゥという、シンドバッドの相棒的オリジナルキャラクターも登場。
かわいいマスコットキャラクターとしてディズニーシーのグッズにもなる等、ディズニーキャラの一員として前面に推し出されております。
ストーリー
船を手に入れたシンドバッドは「心のコンパス」を頼りに航海に出ます。
船乗りシンドバッドと子トラのチャンドゥと一緒に新しい航海へ出発!“心のコンパス”を信じて、最高の宝物を見つけよう!!
それ以上のリニューアル後のディズニーシー版シンドバッドのストーリーラインは私にはわかりません。
ただ推しとしては、リニューアル後の『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』のアトラクション内の演出をミュージカル演出の巨匠アラン・メンケン氏が行っていることです。
キャスト
リニューアル後のシンドバッドのキャストはミュージカル俳優の坂本健児氏に変わっております。
各場面の比較
さて、ここからが本題です。ディズニーシーの『シンドバッド』で登場する場面について、リニューアル前とリニューアル後で比較を行いたく存じます。
それと同時にディズニーシーのシンドバッドのリニューアル前が穏やかでないということを感じていただければ幸いです。
船出
まず、シンドバッドがイラクのバズラから出航するシーンです。
(リニューアル前)賑やかな港町と不吉な予言者
リニューアル前のバズラの港ではアラビア風の音楽が流れます。
このメロディはなんとなくミステリアスで暗い印象です。このメロディが場面の雰囲気に合わせて流れる仕組みになっております。
男気あふれるシンドバッド。唐沢寿明氏の声もカッコイイ!!
船はにぎやかなバズラの町を進んでいきます。そして予言者達に出会います。
シンドバッドの船旅への死亡フラグをガッツリ立てるスタイルの予言者。
この予言者のシーンのあと、船はシンドバッドと共に大海に出ることになりますが、果たしてどうなってしまうのでしょうか。
(リニューアル後)イケメンシンドバッドの歌
リニューアル後には、『コンパス・オブ・ユア・ハート』というテーマソングが流れます。
歌詞もあり、人々を勇気付ける内容です。
なんか、シンドバッドさん、さわやかなイメージに変わっています。顔も、
⇒
リニューアル後のシンドバッドは、眉毛が薄くなり、髭がきれいに剃られています。ただイラクですので、髭を生やしていたほうが自然だとは思いますがね。
シンドバッドさんがイケメンになっていることは間違いないです。
心のコンパスって何ですか?
リニューアル前よりも預言者たちは仲良くなってます。
嵐の大海原
バズラの港を出たシンドバッドの船は、嵐の大海へと進みます。ここも大きく異なります。
(リニューアル前)妖怪うつぼ女の誘惑
リニューアル前の大海原。
禍々しい音楽と、女性のおどろおどろしいハミングが聞こえてきます。
嵐の海を進むと…
緑色の肌に、疲れた髪、茶色い鱗をした人魚が!
これはウツボ女という、シンドバッドの一行を惑わし、海の藻屑にしようとする妖怪なのです。怖い!怖いすぎる!!
ちなみに、おぞましいハミングと音楽はこのウツボ女によるものという設定。この歌もまた、怖すぎます。
リニューアル前のシンドバッドに乗ったお子様は9割方まずここで泣きます。
(リニューアル後)ありがとう、人魚さん!
リニューアル前のシンドバッドと同様、シンドバッド一行は嵐の海へ…
しかし、リニューアル前と異なり、ここでシンドバッドが歌っています。
恐れず進めば友達が、手を差し伸べてくれるさ♪
人魚のハミングもメロディーに綺麗に合わさっており、嵐の怖さは薄まっております。
人魚の肌の色も明るくなり、髪の毛も鮮やかな色に。
ウツボ女という設定もなくなったのか、鱗も綺麗に装飾されております。
ルフ鳥の島にて
やがて、シンドバッド一行はルフ鳥が生息する島に到着します。
(リニューアル前)ルフ鳥とシンドバッドの戦い
・・・シンドバッドが悪者なの?
どうやらシンドバッド一行は食糧難のようです。先には巨大な卵と、それを手に入れようとするシンドバッド一行が。
頭上にはシンドバッドの船の乗組員を捕らえ、連れ去ろうとする伝説のルフ鳥(ロック鳥)が。大きさにして3メートルは裕に超えます。
(リニューアル後)盗賊団とシンドバッドの戦い
リニューアル前にシンドバッドがいた場所に、盗賊のものと思しき船がございます。さらにその横では、盗賊が巨大な卵を砕いております。
シンドバッドがリニューアル前とは正反対の立場に。
進め皆を助けながら 優しさと勇気忘れず
人生は冒険だ 地図はないけれど
宝物探そう 信じて
“Compass of your heart”♪
卵を奪おうとしている盗賊団をシンドバッドたちが懲らしめるストーリーに変わっており、ルフ鳥が爪に引っ掛けているのも盗賊になっております。
巨大なルフ鳥に度肝を抜かれるのは変わりませんがね。
宝の洞窟
シンドバッド一行は島の洞窟へ。そこには財宝が眠っておりました。
(リニューアル前)財宝に沸くシンドバッド一行
ついに財宝を見つけ出したシンドバッド。シンドバッドの仲間達もあまりのうれしさに高笑いです。
シンドバッドの仲間達はまるで酔っ払いのように騒いでおります。
その騒ぎっぷりといったら、こっちがひくレベル。怖いよ。
しかし、岩の陰からそんなシンドバッド一行を睨みつける不気味な瞳が覗きます。
(リニューアル後)財宝を強奪しようとする盗賊団を討伐
リニューアル後も洞窟に財宝があることには変わりありません。
しかし、シンドバッドはその財宝を強奪しようとする盗賊団を懲らしめる役目に回ります。
リニューアル前に岩陰から覗いていた怪物は、盗賊団によって牢屋に閉じ込められてしまっていたという設定になり、シンドバッドは彼をルフ鳥の鍵を使って助けます。
大事なものがある♪
巨人と…
次はシンドバッドと巨人との出会いなのですが、ここも大きくことなります。
(リニューアル前)駆逐してやる!
荘厳なアラビア調の音楽が流れてきます。
洞窟の財宝を守る巨人と一戦を交えるシンドバッド一行。巨人の圧倒的な力を前に、猛者揃いのシンドバッドの仲間達も苦戦を強いられているようです。
心なしか顔が引きつっているシンドバッド。
それにしても、リニューアル前のシンドバッドの悪党感がすごい。
(リニューアル後)仲良く演奏
リニューアル後はシンドバッドが巨人と仲良く音楽を奏でるというシーンに変更されております。
巨人の低音ボイスが美しいです。
一時帰還
ここでシンドバッド一行は一旦、イラクに帰ってきます。
(リニューアル前)王様はチョロい、予言者は不吉
シンドバッドは王様におべっかを使い、冒険の褒美を沢山ふんだくります。
ゾウやら、黄金やら、シンドバッドがお世辞を言うたびにご褒美は増えていきます。
しかしシンドバッド一行にまだ難癖をつけてくる予言者。僻んでるの?
(リニューアル後)王様からの勅令
シンドバッドと王様が楽しそうに歌うシーンに変わっております。
王様からシンドバッドに勅令が。
地味に王様の歌声が美しいです。ハモりに回ってくれる王様、まじ天使。
猿ヶ島
再び航海に出たシンドバッドは乱暴者の猿たちが生息しているという猿ヶ島へと向かいます。
(リニューアル前)猿からの一方的な攻撃
武器を手にし、シンドバッドに襲い掛かってくる猿たち。
こちらに石を投げようとしてきたり、岩を落としてこようとする猿もいます。
ちなみにシンドバッドが活躍する場面はありません。
リニューアル前では猿達から一方的にシンドバッドの船が攻撃を受けます。
(リニューアル後)猿と演奏だ!
ジャングル調のにぎやかな音楽が響いてきます。
お土産に、バナナをくれるようです。
でもシンドバッドの顔、引きつっているような気が…。
サルもなんか未だに怖さを残しているようです…。
クジラ島
シンドバッドの船はとある島に着きます。しかしそれは島ではなく、なんとクジラだったのです。
(リニューアル前)海の巨大な怪物との戦い
シンドバッドが休むつもりで停泊した島はなんとクジラ島だったのです。さらに、そのクジラはなんと獰猛な海の怪物だったのです!!
シンドバッドはこのクジラを退治!!
このクジラの大きさには度肝を抜かれます。さらに目玉もクルクル動くため、怖いし気持ちが悪いです。
(リニューアル後)心優しいクジラバス
どうやら、クジラがシンドバッドの船をイラクまで送ってくれるそうです。リニューアル後のシンドバッドでは心優しい生き物として描かれております。
相変わらず大きいです。怖さは軽減されましたかね。気持ち。
宝石や 黄金じゃなく
旅の中でめぐり合った
すばらしい僕の友達♪
帰還
遂にシンドバッド一行は旅を終え、イラクへ帰ってきます。
(リニューアル前)シンドバッドの栄華
怪しげなアラビア調の音楽の中、シンドバッドの船の乗組員達が財宝を売りさばいている様子が。
ラクダが何頭も並び、その上には山のように財宝が!
シンドバッドを中心にした饗宴が行われています。
共に厳しい航海を乗り切ったシンドバッド仲間達はもう有頂天。
直接は描かれませんが、シンドバッド達の財布はすぐに底を尽きてしまいそうと思わざるを得ません。
その先の人物が、シンドバッドの船をセールで売っています。その人物曰く、もうシンドバッドは海を離れたそうです。
ハッピーエンド…なのか?
(リニューアル後)大団円
リニューアル前よりも明るくなっております。細かい点では、財宝だけではなく猿ヶ島のバナナも成果物に加わっています。
『コンパス・オブ・ユア・ハート』が雰囲気を盛り上げます。
さらに、先ほどの饗宴も、シンドバッドはそこにはおらず、帰還を歓迎するショーのような位置づけに。
悪人から善人に
リニューアル前の『セブンヴォヤッジ』ではシンドバッドはどちらかというと航海し、停泊地を荒らして財宝を見つけるという海賊のようなキャラクターでした。
しかし、リニューアル後の『ストーリーブック・ヴォヤッジ』では、上記のような海賊行為を行うキャラクターを別に設け、シンドバッドがそれを成敗するというストーリーになっております。
やはり、ディズニーシーにはリニューアル後の方がふさわしいですかね。
(追記)動画
本エントリー更新後、ディズニーシーのシンドバッドのライドスルー動画を発見いたしました。
リニューアル前、リニューアル後ともにYouTubeにございましたので、ご覧いただければと存じます。
リニューアル前の動画
やはり怖いですね。
リニューアル後の動画
(追記)長すぎた待ち列
冒頭で記載したように、シンドバッドはディズニーシーで最も多くのオーディオアニマトロニクスを用いているアトラクション。
ディズニーシーオープン前には大きな期待が…
同じくオーディオアニマトロニクスが用いられている東京ディズニーランドのアトラクション『イッツアスモールワールド』『カリブの海賊』の成功を踏まえると、シンドバッドにはかなりの期待が持たれていたのでしょう。
リニューアル前の『シンドバッド・セブンヴォヤッジ』にはかなり長い待ち列の為のスペースが用意されておりました。
しかし、期待外れ
しかし、上記のように『シンドバッド・セブンヴォヤッジ』はかなり怖いアトラクションでございましたので、ディズニーシーのアトラクションの中でも屈指の空いているアトラクションでした。
リニューアルで改善を図るも…
リニューアルが行われ、怖さは軽減、シンドバッドはお子様でも十分楽しめるアトラクションになったのですが、一度ついた印象というものはなかなか拭えません。
リニューアル後も客足が激増することもなく、暇だから、疲れたから立ち寄るアトラクションとして扱う人も沢山おりました。
ジャスミンのフライングカーペット
そこで余ったのが、待ち列の為のスタンバイスペース。アトラクションの待ち時間は常に10分以内と、ディズニーシー内でも破格の待ち時間ですので、そのスペースが使われることはありませんでした。
現在そのスペースはシンドバッドの待ち列のためのスペースではなく、ディズニーシーの新しいアトラクション、『アラジン』を題材にした「ジャスミンのフライングカーペット」になっております。
乗ってきましたが、基本的には東京ディズニーランドの『空飛ぶダンボ』と同じシステムのアトラクションでした。
東京ディズニーランドのダンボに比べて高さがかなりあるので、眺めも良く、気持ちのいいアトラクションでした。
さすが、ディズニー!!
まとめ
いや、でも人魚とかクジラは相変わらず怖い。
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最後までお読みくださいましてありがとうございます。