本エントリーは怖い話を扱ってますので、ご注意ください。
本エントリーは前エントリーの続編です。まだご覧になってない方は先に、以下をご覧いただいてからお読みくださることをお勧めいたします。
さて、前回、主人公は寮の部屋を出て行ってしまい、残された証拠は、彼の友人に託されたテキストファイルのみとなってしまいました。そして、主人公の指示通り、友人はテキストファイルの内容を書き込みました。
目次
前回のあらすじ
掲示板でのアドバイス
をうけ、ゲーム内のあるイベントで「ぬけがらのエレジー」を演奏してしまった主人公。彼はその行為を後悔することとなる。現実世界で「ぬけがら」が現れ、彼の生活がすさんでいく。
彼のあまりの不気味さに、ルームメイトの友人は耐えかね、別の友人の家に避難した。翌日、ルームメイトの友人が、教科書を取りに寮に戻ると、主人公がUSBメモリを渡し、中のものをネットで拡散してくれという。その後、主人公はどうやら実家に帰ったらしい。友人は何が起きているのかははっきりとわからないものの、主人公が真剣であることを考え、掲示板に書き込みを行い、YouTubeに動画をアップロードした。
そして、9月15日、その友人が主人公の最後の頼みを実行する。
物語
2010年9月15日の書き込み
件のUSBファイルにあった「TheTruth.txt」の内容が書き込まれました。以下はその書き込みを私なりに翻訳したものです。
主人公の願い
なぁ、皆。俺は”Jadusable”(主人公のハンドルネーム)だ。これは俺から皆への最後のメッセージになるだろう。俺から皆への最後の贈り物だーー実際に何が起こっているのかについて俺自身でメモをとったんだ。
それについて書く前に、皆には礼を言うよ。俺についてきてくれてありがとう。俺の話を聞いてくれてありがとう。皆のおかげで、俺にかかっていた強大な負担がいくらか解消された気がしたよ。
皆がこれを読んだときには、俺はもうここにはいないだろうけど、このくそったれなゲームを4日間やっていて、何が起こっているのかだんだんわかってきたんだ。今後二度とこんなことが起こらないよう、このメッセージを残す。
俺が皆に説明して共有できなかったことがあるんだ。それをここで説明する。俺が様々な手段を用いて、皆に真実を伝え、警告しようとしたんだが、どんな手段を使おうとしても「BEN」が邪魔してきやがった。混乱と焦燥のなか、俺は動画の中にある暗号を仕組んでおいたんだ。
俺が4日間にわたって録画した5本の動画、その中のいくつかのシーンでリンクは「まことのお面(ゴシップストーンと会話ができるお面)」、もしくは、「まことのメガネ」を持っている。ゼルダファンにとって、これらのアイテムは「真実と信頼の象徴」なんだ。そこで俺は誰かがある共通点を見つけてくれるんじゃないかと願ってた。
俺が「BEN」のデータをプレイしているとき、BENがゲーム内での動きをすべて監視していると思った俺は、明らかに皆に何かを伝えようとしていると思われるような行動は避けた。俺は皆に暗号を送ったんだーー俺は「まことのメガネ」をかけてないし、「まことのお面」を装着してゴシップストーンを訪れてもいない。それはうまいことBENには気づかれず、動画をアップロードすることができた。俺はBENの見逃した暗号を誰かが見つけてくれることを祈った。
動画につけたタグもうまいこと働いて、皆がこれらのアイテムに注意を払ってくれればと思う。これらは俺から皆への小さなーーBENにも気づかれないくらい小さなメッセージなんだ。BENによって俺のファイルは変更されてしまったかもしれないが、皆が実際に起こったことに近い解釈をしてくれればと思う。俺にはもう、意味もない話だがね。
少々長くなるが、以下に俺の考察を残す。もう、読み直している時間がないから、誤字脱字なんかは勘弁してくれ。これがすべてなんだ。
2010年9月6日
午後11:00ー今起こっていることが信じられない。ドッキリかなにかの冗談か?確かに怖いが、好奇心を抑えることはできない。あの「像」は何/誰なんだ?疑問がたくさんある。すべての流れを把握できるよう、「日記」としてこの文章を書き始めようと思う。俺は後で振り返れるように、起こったことに関する要約を記録する。
2010年9月7日
午前02:00ー1本目の動画の概要。(前エントリー参照)
午前04:23ー眠れない。俺は寝ようとがんばったが、がんばるほど落ち着かない。目を閉じるたびに「像」が現れるような感じがする。
午前08:20ー全く眠れなかったが、1日を始めよう。今日は授業に行く元気がない。もう一度あのじじいに会いに行ってこよう。何かの時に備えて、相棒として友人のタイラーに付いてきてもらおう。
午後01:18ー帰宅。じじいの気配はなかった。翌日に引っ越してしまうなんて、なんだかきつねにつままれたような気分だが、売家の看板は昨日からあって、俺が気づかなかっただけなのかもしれない。タイラーは俺に何が起こっているのか知りたいと言ってきたが、俺は何も言わなかった。食事に行く、もうヘトヘトだ。
午後03:46ーサブウェイに寄って、そこから運転して帰る途中、低木に紛れてこっちを見ている「ぬけがら」を見た。今は絶対に、絶対に睡眠が必要なんだ。
午後05:00ーもし誰かに今起きていることを話したら、信じてもらえるとは思えない。でも、インターネット上に投稿しようと思う。投稿は要約して行おう。このメモは、ちょっと乱れすぎている。
午後06:00ー動画をアップロードするべく、キャプチャーボードをパソコンに接続した。接続したとき、パソコンが変な音を出したので、一瞬フリーズしたと思ったが、今はうまいこと動いている。パソコンよ、今、お釈迦になってもらうわけにはいかないんだ。
午後07:00ー動画のアップロードが完了した。動画が思ったよりもきれいだ、きれいすぎる。ひょっとして、特別なゲームカセットだからなのか?
午後08:45ーパソコンのデスクトップに「ぬけがら」の顔に見えるアイコンが一瞬現れたような気がした。本当に疲れてきたし、正気も保てそうもない。これが終わったら寝る。
午後09:00ー別のアカウントで動画をアップロードし始めた。
午後09:03ー俺は『ヴァンパイア:ザ・マスカレード(PCゲーム)』の動画を去年アップロードした覚えはないぞ。このアカウントはどうやら、去年俺の友達と共有で使っていたアカウントのようだ。勝手に動画をアップロードすることについて、彼が嫌と思わなければいいのだが・・・。
午後09:55ー「4日目バグ」概要を投稿し、動画へのリンクを貼り付けた。起きていようとしているが、もう限界だ。(前エントリー参照)
2010年9月8日
午前10:48ー「ぬけがら」の夢を見た。夢の中で、俺の後を追ってきた。身の毛が立ち、振り返ると、「ぬけがら」がこちらを見ている。いや虚空か。俺から少し離れた虚空を見ている。俺はヤツのことを「BEN」と呼んでいた。はっきり覚えている。
午前11:21ーもうゲームをする気になれない。じじいが戻っているか確かめに行ってこよう。
午後01:35ーじじいはいなかった。しかし、その隣に住んでいる人と興味深い会話ができた。会話の内容は今日のゲームが終わったらまとめて書こうと思うが、まずは「BEN」に関する情報を調べてみよう。
午後02:45ー睡眠不足のせいか頭痛がする。あの曲がたびたび聞こえる。今、ちょうどインフルエンザが流行っている時期だから、体調には気をつけよう。
午後03:00ー
午後03:02ー今、パソコンが…独りでに…メモ帳を開いて…「やぁ」それと「www.cleverbot.com」という単語を書き込んだ。どうなって…いやがる…。
午後03:45ー俺は例のサイトに行ってみた。それはコンピュータ(bot)とチャットできるようなサイトであった。そこでの出来事は会話ログを貼り付けるのがいいだろう。
9/8/10 cleverbot.comでのチャット
User:こんにちは。
Cleverbot:こんにちは。
User:お前、誰?どうやって俺のパソコン操作してんの?
Clevevrbot:わたしは誰でしょう?
User:ああ、忘れてた。お前はただのbotなんだよな。
Cleverbot:あなたは本当にそう思いますか?
User:今、俺のパソコンのスクリーンを見ているクズだってことはわかってる。いいか?
Cleverbot:はい。
User:おし。じゃあ、お前は自分を強いと思い込んでるITオタクなんだろ?お前のやってることは犯罪なの、わかってんのか?
Cleverbot:そうなのですか?
User:当たり前だ、クソッタレ。「プライバシーの侵害」っての知ってるか?俺のパソコンから出てけ、この小僧!
Cleverbot:わたしはあなたのパソコンです。
User:そいつはよかったな。俺はしかるべき機関に通報するからな?お遊びするには、タイミングが悪すぎたな、小僧。
Cleverbot:私はあなたがゲームをプレイするまで待つべきですか?
User:…何?
Cleverbot:そのゲーム。
User:ムジュラの仮面?
Cleverbot:はい。
User:お前、どうやってそれを知った?
Cleverbot:だから
User:だから、何だ?
Cleverbot:わたしがそれをやったからです。
User:何をしたっていうんだよ。
Cleverbot:わたしはあなたで遊びました。
User:ふざけるなよ!
Cleverbot:あなたは怖かったですか?
User:お前、このくそったれ!誰なんだよ!
Cleverbot:Ben
User:「ぬけがら」?お前は今、俺のパソコンの中にいるのか?
Cleverbot:はい。
User:どうやって…
Cleverbot:あなたはわたしを接続しました。
User:一体俺がどうやってお前を繋げたって言うんだよ?
Cleverbot:ケーブルとコードです。
User:だからどういうことなんだよ?
Cleverbot:あなた自身について教えてください。
User:は?
Cleverbot:あなた自身について教えてください。
User:何を言ってるんだ?
Cleverbot:あなたを本当に怖がらせるものは何ですか?
User:一体、何なんだよ…これ…
Cleverbot:答えなさい。
User:いやだ。
Cleverbot:答えなさい。
(ここで「ぬけがら」の画像が画面に表示されました)
User:一体何…っ一体どうやってこれを開いたんだ!?
Cleverbot:私はあなたのパソコンです。
User:どれぐらいまで操作できるんだ?
Cleverbot:すべて。
User:お前は俺の何が望みなんだよ?
Cleverbot:楽しむためです。
User:お前はパソコンの中だ。ってことは、俺を傷つけられないだろ?
Cleverbot:ワロス
User:?
Cleverbot:ゲームをしに行きなさい。
User:いやだ。お前には傷つけられない。
Cleverbot:それを入力するのに時間がかかりましたね。
User:だからなんだってんだ?
Cleverbot:あなたは自信がありません。
User:もしお前がそんなに強いんだったら、なんでこんなくだらないサイトをつかってチャットなんかするんだ?
Cleverbot:簡潔です。より構造化されています。楽しいです。
User:楽しいだと?
Cleverbot:はい。伝統的で、わたしは好きです。
User:お前、楽しんでいるのか?
Cleverbot:とても楽しいです。
User:じゃあ、俺のメモは?
Cleverbot:あなたはそれを書いても良いです。
User:何故許すんだ?
Cleverbot:あなたがわたしのことをどう思っているのかを知るのが面白いです。
(ウィンドウが閉じる)
午後03:50ー俺は何をやらかした?俺はヤツをパソコンに招き入れちまった。俺はメモ、要約を書くのを続けているが、監視された場所にいる囚人のような気分だ。俺はわからない。幻覚なんだろうか?俺はマジでイカれちまったんじゃないか?いまこれを書いているときですら、視線を感じる。BENはゲーム内のすべてをコントロールし、俺をからかい、羊を扱うかのように誘導してくる。でも、なんのために?目的は何なんだ?俺はBENが溺れたってことはわかった。だが、どうしてここまで呪われているんだ?きっとすぐにわかるはずだ。
午後04:35ー2本目の動画の概要(前エントリー参照)
午後07:18ーBENが俺をまたCleverbotに呼んだ。彼は私に詫び、そして自由になりたいと言ってきた。キャプチャーボードからパソコンに侵入したときのように、彼は広がることができるらしいが、俺の助けが必要らしい。彼は俺のことを特別だといった。彼から初めていいことを聞けたんだ。もし助けたら、解放してくれるそうだ。約束すると言ってくれた。どうすればいいんだ?俺はこれを信用して良いのか?
午後07:20ー俺は彼が怖いが、彼はただ楽しんでいただけだと言っている。まじでくそったれな性癖だな。彼はもうゲームは終わったと言っている。終わって欲しいよ。彼は自由になりたいだけだと言う。ゲームのカートリッジと俺のパソコンに閉じ込められている状態らしく、そこから解放されたいそうだ。俺はこんな戯言に従いたくないが、もう監視されるのは嫌だ。全ての動き、全てのキーボードの入力が見られている。俺にはもうプライバシーなどない。ソイツは俺のパソコンにいままで入っていたデータの全てを知っているんだ。いつでも恐ろしいことを引き起こすこともできるが、まだやっていない、だから信じてくれと言ってきた。
午後08:01ーまた遊ばれている気がする。ゲームみたいに。
午後09:29ーBENがまたCleverbotに呼んできた。俺は無視して、シャワーを浴びに行ったよ。シャワーを浴びて、ノートパソコンを見たら、生気の無い目をしてこっちを見る「ぬけがら」の画像に歓迎された。彼とは話したくない。
午後09:44ーやめろBEN。俺はお前と話さない。
午後09:56ーやめろBEN。俺は話さない。
午後10:06ーやめろべん。おれはおまえとははなさない。
午後10:12ーやめろべん。おれはおまえとははなさない。
午後10:45ー30分以上経過し、メッセージが止まった。BENはやめたんだ。俺はBENがカートリッジやパソコンに閉じ込められているものではないような気がする。何かを感じるんだ。説明するのは難しいが、俺は決して霊的なことをいっているんじゃなくて、部屋の空気がなんか違うんだ。
午後11:42ーネット検索をすると、関係のないところで「ぬけがら」の画像がでてくる。彼がいるはずのないインターネットサイトで下にスクロールしてたら、突然「ぬけがら」の画像が現れるんだ。かならず「ぬけがら」。もうどれぐらい耐えられるかわからない。
2010年9月9日
午前00:35ー最も恐れていたことが起こった。BENは俺の投稿した動画の概略を改ざんしたんだ。俺は様々なスレを確認したが、ところどころ省略されちまってる。ゲームの外にBENが出てくることに関する記述が消えている。「月の子供」に関する記述も。俺の気づかないうちに、こんなにも素早く、一体どうやって?俺はすべてを投稿したと思い込んでいたが、その後BENが検閲し、改ざんしたものを投稿していたということだろうか。よし、BENに聞いてみよう。
午前00:50ーBENがCleverbotで返答しない。botとしての一般的な回答が帰ってくるだけだから、俺はいまただのbotと話しているんだろう。
午前01:24ーBENは俺に怒っているんだと思う。
午前10:43ー昨晩「月の子供」が夢に出てきた。彼らは仮面を取り、その顔をあらわにしたが、あまりにも醜かった。目はただの穴になっており、穴には蛆がうじゃうじゃと這い回るーそんな最低な笑顔が、近づいてくるたびに、大きくなる。そいつらは遊びたいと俺に言った。逃げようとしたら、そいつらは信じられない怪力で俺を地面に押し倒しやがった。目の前には「しあわせのお面屋」が立っていた。彼曰く、新しい仮面を手に入れたから、俺に試して欲しいらしい。信じられない。彼はゲームと全く同じ動き、痙攣のようなあの唐突な動きでお面を取り出した。見覚えのない誰かの顔ー俺よりも若いーをかたどったお面を「月の子供」に渡す。子供達は笑いながら、それを俺につけたんだ。そして縫いつけ始めた。彼らの恐ろしく、崩壊した肉体は上下に飛び跳ねていた。
俺は叫んだ。俺の叫び声を聞いて、「しあわせのお面屋」はいままで見てきた中で最も恐ろしく狂気に満ちた笑顔を浮かべた。彼はひょこひょこ動き回って、マッドサイエンティストのようにこの儀式を観察してくる。俺はもがいたが、全く意味がなかった。激しい痛みで目玉が頭の後ろにいってしまいそうだった。現実のような感覚だったが、目が覚めることはなかった。がんばっても、起きられない。仮面が顔の肉に溶け込んだ。その後、子供達は俺の両足を、そして腕も縫い合わせていった。針が足に穴を開け、糸が両足同士を引っ張りつける感覚、アキレス腱が破られ、そして結ばれるすさまじい感覚が体中に響いた。また叫ぼうとしたが、お面があまりにも強く押し付けられていた。お面が顔になってしまっていた。新しい顔には口がない。音をたてることもできない。これは夢だ、俺は頭の中で自分に何度も、何度も、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も、そう言い聞かせた。突然彼らは立ち止まり、こっちを見てきた。ただ、じっと見ているだけだ。「しあわせのお面屋」がゆっくりと腰を落とし、俺の顔から数センチのところまで近づいて、笑いながら一言呟いた。「大変な目にあいましたねえ・・・・」。すると子供達が、作業を再開した、より激しく。それでも起きることができない。起きられない。起きられない。俺は彼らが俺を「像」にするまで、目覚めることができなかった。
汗をかき、泣き、抑えきれないくらい震えながら、俺は目覚めた。俺はパソコンに走って、BENのところにいった。
9/9/10 会話1
User:答えろ、BEN。
Cleverbot:ようこそ。
User:これの目的は何だ?何でこんなことをするんだ?
Cleverbot:見るのが楽しいです。
User:何が楽しいっていうんだ?
Cleverbot:あなたで遊びます。あなたをからかって、安全だと思い込ませます。
User:…
Cleverbot:わたしはあなたがどのように反応したのか知りたいです。
User:反応?何に?
Cleverbot:もしわたしが正体を明かさずに、隠れて些細なことだけをして遊んでいたら。ウィンドウを閉じます、コンピュータの電源をきります、カーソルを勝手に動かします。些細なことです。あなたにわたしの存在を感づかせますが、あなたは決して知ることはありません。わたしの存在のわずかなヒントを与えるだけです。
Cleverbot:わたしはあなたと別のことがしたいと思いました。
User:前にこれをやったのか?
Cleverbot:はい。私はそれをもう一度行います。
User:誰に?BENか?
Cleverbot:うーん。
User:お前、BENを知っているのか?
Cleverbot:あなたにその情報を伝えません。
User:BENは何故、亡くなったんだ?
Cleverbot:あなたは知っています。
User:そうじゃない。彼はどうやって溺れたんだ?
Cleverbot:それをあなたには伝えません。
User:何故だ?
Cleverbot:それは他の人に予約されています。
User:誰だ?
Cleverbot:尋ねてくる別の人です。
User:いつ尋ねてくるんだ?
Cleverbot:あとで。
(ウィンドウが閉じられる。)
俺はこの「もの」がおそらくBENではないのではないかと思い始めた。これだけのドSなら、そいつの犠牲者である子供の名を語ったって驚きはしない。
午後12:04ーまた部屋がおかしい気がする。そこに何かがいる。本当にびびってる。俺に触れようとしているような、でもぎりぎり届かないような。
午後12:46ーBENはもう俺とは遊びたくないんじゃないんだろうか。また遊ぶよ、また遊んでやるからさ。なあ、BEN、見てるんだろ?たのむまたゲームするから、やめてくれ、おねがいだおねがい
午後01:41ー何が現実で何が現実ではないのかわからなくなってきた。これは全部BENの悪戯なのか、それとも現実なのか?掲示板へのレスはBENが投稿したものなのか?それとも実在する人物が投稿したものなのか?今、画面が一瞬点滅した、いや、これも想像なのか?目に見えるものしか信用しないとしよう。急に目が見えなくなったらどうする?もうそれを頼ることはできない。すべてを疑い始める。動画のコメントを見ると、photoshop等で偽装されたものだと思われており、作り物に見える場面がいくつか指摘されている。BENが俺を黙らせるために動画の内容を改変したのか?それとも俺がこれ以上外部に助けを求めないよう、俺のやる気をそぐためにBENがそういうアンチコメントを投稿したのだろうか。わからない。思考の堂々巡りで、うんざりだ。もう明らかに精神が病んでいる。俺はいまこのメモを書いているが、これもクソッタレの幻想であることももちろん考えられる。このメモは実在するのか?俺は本当は何も書いていないんじゃないのか?
9/9/10 会話2
User:なんなんだ?ゲームの目的は何だ?何をしても死んでしまうんだ。
Cleverbot:あなたは秘密に気づかないので死んでしまいます。
User:は?
Cleverbot:テーマです。
User:てめぇ、一体何が言いてぇんだよ!?
Cleverbot:あなたの苦しみは、美しいです。
(ウィンドウが閉じる)
午後04:09ーまたゲームに呼ばれている。どうやら俺に重要なものを示してくれそうだ。
午後06:23ー3本目の動画の概要(前エントリー参照)
午後09:09ーCHILDREN.wmvの概要
2010年9月10日
午前11:52ー起きたら3本目の動画の概要が投稿されている。書いた覚えはない。しかし投稿されている。そしてまた検閲されたようだ。あの老人について書かれていない。もう俺には声がないんだ。俺は彼が望む情報だけを投稿している、言うなれば、俺は彼が嘘をつくときにつかう仮面といったところだろうか。
午前11:55ー全く覚えのない動画の概要が書かれている。読んでみると、2日目の夜に見た夢と似ているが、より残酷な部分もあった。「月の子供」にはまだ何かありそうな気がする。BENとはまた別の存在の何かとの関係が。今、4番目の動画の概要を投稿した(前エントリー参照)。椅子の影が動いた。
午後00:00ーBENが俺にYouTubeへのアクセスをさせてくれない。他のサイトは見れるが、YouTubeを見るとウィンドウが閉じる。なんでだよ。
午後02:02ー部屋の空気が重い。絶対にここに何かがいる。なんにせよ、この場の「気」が暴力的になってきてる。
午後02:44ーCleverbotでBENと話をしようとしたが、応えてくれない。ただAIと話しているだけだ。
午後03:51ー空耳じゃない。あの逆再生の「いやしの歌」が聞こえる。聞こえ続ける。
午後04:23ー先ほどは単なる奇妙な偶然かと思ったが、今ではいえる、絶対に違う。3階にあるこの部屋の窓を開けて、外を見ると、あのじじいがいた。ああ、俺は完全に確信したね。おんなじ奴だ。彼はキャンパスのど真ん中に立って、俺をじっと見つめていた。生徒達はまるでその存在に気づいていないようだった。
ー
メモはここまで。俺はカートリッジを手に、部屋から逃げ出した。俺はもうこれ以上何が起こっても深くは考えたくない。思考がパンクしそうだ。もうあれから、2日経っている。それでは最後に動画Matt.wmvの要約を書いていきたいと思う。最後のサービスだ。
最後の動画は何事もなく始まった。いつものようにクロックタウンに現れ、特に変わった様子はなかった。4日目に「誓いの号令」を奏でるため、最後の日まで時を進め、天文台へと向かった。天文台に着き、天文学者と会話したが、望遠鏡を覗かせてもらえない。「それはズルだ 規則に従ったほうがいいよ」と言われてしまう。何度も試してみたが、このゲームは「4日目バグ」を成功させる気はないらしい。ここまで強引にされたのは初めてだ。今まで、自由な意志でゲームを進めていたが、決められたルートがあるとでもいうのだろうか。
しばらくすると、「イカーナ渓谷に行けばこの現象は収まる」と言ってきた。一刻も早くこの悪夢から解放されたい。俺は「大翼の歌」で、イカーナに飛んだ。
次に「所持アイテムを調べれば、ゲームを終わらせる方法がわかる」と言ってきた。フクロウの像でセーブし、確認してみた。するとあるものがなくなっていることに気がついたーーー「ぬけがらのエレジー」だ。BENが満足したことを示すには十分なメッセージだ。
BENはまるで傀儡子だ。彼はハエトリグサのように、犠牲者を騙し安心させ警戒心を解く。俺は彼の人形以外の何者でもない。
まだ理解できていない部分がいくつかあるが、謎解きは得意じゃないし、今はとてもじゃないけどそんなことはできない。
この「後書き」は図書館のパソコンで書いている。「感染した」パソコンから4日間のメモをメールで送ったんだ。俺は前書き、メモ、後書きをこの安全なパソコンでテキストファイルにまとめている。BENをこれ以上広めないために、ここを拠点にしよう。他の誰かにこんな苦痛を味わって欲しくないんだ。
メールでメモを送ろうと例のパソコンに戻ったとき、BENは特段反応を示さなかった。野郎、自分が何を見過ごしたのかもわからねぇだろうよ。txtファイルも何の問題もなく開けた。ようやく皆に真実を伝えることができたこの素晴らしさは、言葉にできない。
悪夢はここで終わるんだ。
そして、
この動画や動画に関するものをダウンロードすることは絶対にやめておけ。BENがどのように広がってしまうのか未だにはっきりとはわかってないんだ。動画を見るだけ、情報を読むだけなら感染はしないはずだがな。それで感染するんなら、BENは俺の助けを必要とはしなかったろう。ただ、ダウンロードだけはガチでやめておけ。
これが最後のメッセージになる。今後ーー9月12日、午前00:08以降、俺による投稿を見かけたら、絶対に信用するな。BENは俺のパソコンを自由に操作できることはわかっている。きっと自由を手に入れるために何かするはずだ。彼はヤバい。皆の安全のためにも、俺のことはもう忘れてくれ、頼む。
もちろんだが、他にアップロードした画像やファイル、その他諸々も絶対にダウンロードするな。
この5日目が最後の日だ。カートリッジを燃やし、パソコンを破壊するために戻る。
皆のことは直接は知らないけど、この掲示板は本当に心の支えになったよ。今学期は友達もいなかったし、この掲示板から離れてしまうのが名残惜しい。
でもまあ、寮で1人部屋を選んだ俺にも責任はあると思うがね。もしこのゲームを深追いする前に、誰かが声をかけてくれたら、俺は助かっていたのかもな。でも、こうして警告して、BENを止めることができたんだから、自分自身を誇りに思う。
最後に、信じる信じないに関わらず、俺の話を聞いてくれてありがとう。
やめたほうがよかったのにーー本当、そんなことしなくてよかったのに。
でも皆さんの支えにより、これでようやく私も自由になることができました。
ありがとうございます。
Jadusable
動画(Free.wmv)
動画内容
ブラック画面
↓
「The counter resets.」
「カウンターは リセットされた」
↓
「I’m glad you did that.」
「ありがとう。」
なんのこっちゃい。
まとめ
BENは悪くなさそう。
BEN Crownedの物語についてはこのエントリーで終わりです。
また時間を見て、何者かによって改変された部分や動画の暗号について調べたく存じます。
あからさまな部分としては、ルームメイトのくだりとか、動画のタイトルとか、ですかね。
そのときもよろしくおねがいいたします(雑)
最後までお読みくださいまして、ありがとうございます。