焼き魚も危ない?!「シガテラ」という食中毒の脅威

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皆様はお魚料理はお好きでしょうか?

刺身にフライ、焼き魚など想像しただけで美味しそうですよね(好きでない方はスルーしてください)。

さて今回はそんな皆様の食卓を脅かすおそれのある問題について。

端的に申し上げるならば、いままで普通に食べることのできていた種類の魚も「毒」に汚染されてしまうかもしれないのです。

その毒に汚染された魚を食べてしまうと

シガテラ

と呼ばれる食中毒を患ってしまうおそれがあるのです。

従来シガテラは沖縄などの暖かい海で揚がった魚でしか発症しませんでした。しかし、ここ10年で本州でも発見されるようになってしまったのです。

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シガテラ

早速ですが問題の食中毒「シガテラ」についてご紹介いたします。

プランクトンの毒素

シガテラはこのプランクトンが発する毒に汚染された魚を食べることで発生する食中毒。

具体的にどのようなプランクトンかと申し上げますと、

過鞭毛藻(かべんもうそう)と呼ばれる植物プランクトンの中で「ゴニオウラクス属」に属するもの。

ちなみに「過鞭毛藻」は食物連鎖の最底辺とされており、ゴニオウラクス属の他にも有毒ではないバクテリアなどもこの中に含まれます。食物連鎖の最底辺が人間に危害を加えるのは驚きですよね。

食物連鎖の最底辺…これが後に大きな意味を持ってきますので、少々頭の片隅に置いておいてください。

シガテラにかかった場合

「シガテラ」と怖そうな名前ですが、シガテラにかかった場合、どのような症状に見舞われるのでしょうか。

具体的には

  • 吐き気、下痢、腹痛(数日~数週間)
  • 不整脈、血圧低下、めまい、頭痛、麻痺…etc

消化器系・神経系に重大な症状を引き起こしてしまうようです。

日本での死亡例は幸いないようです。

海外での死亡例に関しては数件あるようですが、「状況によっては死に至る事はあるが、それは稀である」というのが現状の結論のようです

ちなみに参考にさせていただいたサイトによると、54歳の花嫁さんがシガテラを発症して10日後に心臓発作でお亡くなりになったそうです。(参考:Newlywed bride dies 10 days after wedding from heart attack believed to have been caused by ‘contaminated fish’

死ぬことはほとんどないという点ではホッとしました。

どんな魚が危ないの?

いやいや危ないって言ってもイカとかだけでしょ?

というのが、私の第一印象でした。しかしシガテラはそう甘くはないようなのです。

プランクトンを食べるような小さい魚

先ほど「ゴニオウラクス属」というプランクトンの毒が魚を汚染すると申し上げました。

この有毒なプランクトンは基本的に海藻の表面についており、これを食べた魚が毒に犯されてしまいます。

…じゃあ海藻を食べないような大型の魚は大丈夫なんじゃ?

とも思えます。

その魚を食べるような大きな魚

しかし「食物連鎖の最底辺」という言葉を思い出してみてください。食物連鎖… 有毒なプランクトンを食べた魚。そしてその魚を食べる大きな魚。そして…

食物連鎖は上位に行くにつれて個体数は減っていきます。つまり上位の魚に含まれる毒は低位の魚のそれより濃くなっているのです。

その点、小さな魚よりも大きな魚の方が毒性が強くなる傾向があるため危険であるとされております。

具体的に感染するおそれのある魚は、タイ、ウツボ、カマス、ハギ、アジ、ヒラマサ、ブリ、など、400種類以上にのぼります。

上記の例は比較的食物連鎖の上位に属する魚ではございますが、低位だからといって必ずしも安全とは限らないとのこと…。

焼けばいいんじゃない?

いやいや、刺身はともかく、熱を加えれば大丈夫でしょ

というのが当初の私の見解。しかしやはりシガテラはそう甘くはないようです。

熱は効かない

シガテラ毒は熱によって分解されないことがわかっております。

つまりほとんどの調理方法が除毒には役に立たないということです。

ちなみに毒が料理の味に影響を与えることはなく、食べてしまった人が口の中で毒に気がつくということはまずございません。

さらにさらに出汁に滲み出るタイプの毒なので、魚の身自体を食べなくてもその出汁を飲んだだけで毒を摂取したことになります。

赤ちゃんのミルクも危険

では魚料理を一切食べない者はシガテラとは無縁なのかと申し上げますと、必ずしもそうとはかぎりません。

赤ちゃんが飲む母乳。

こちらにもシガテラ毒は移るらしく、お母さんがシガテラ毒を摂取していた場合、赤ちゃんも危険な状態に陥る場合がございます。

赤ちゃんの場合、体が小さいのでかなり重大な毒といえるのではないでしょうか。

暖かい海だけなんでしょ?

冒頭で「沖縄などの暖かい海で揚がった魚でしか発症しませんでした」と記載いたしました。海外でも主に各海洋の熱帯域で揚がった魚で発生することが多いそうです。

北上して本州へ

しかし以下の表によると…

イシガキダイ
による
シガテラ
発生場所 患者数 死亡者数
1988年3月 沖縄県 3 0
1992年3月 沖縄県 5 0
1998年4月 宮崎県 10 0
1998年8月 鹿児島県 19 0
1999年8月 千葉県 12 0
2007年4月 神奈川県 7 0
2007年6月 大阪府 9 0
2008年7月 三重県 3 0

引用:本州で発生したパリトキシン様中毒とシガテラ

1990年以降、発生場所が沖縄から北上していることが伺えます。この表の引用元の論文によると、「地球温暖化」が原因で有毒なプランクトンも北上しているのだとか…。

自治体の対応

シガテラとお聞きになられて、2016年に起こった築地市場の誤表示問題を思い出された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は厚生労働省はシガテラのリスクが高い魚の販売を規制しております。

具体的にはオニカマスは全国的に販売することを禁じております(昭和28年6月22日付)。

さらにオニカマスを含む10種類の魚の輸入は全面的に禁止されており、他8種も条件付での輸入しか認められておりません。

2016年の築地では、「シガテラ毒魚」として定められている「バラハタ」を、そうではない「スジアラ」として表示して販売してしまったことが問題となりました。


↑バラハタ


↑スジアラ

似ています。見分け方は尻尾の形状だけらしく、かなり難解な識別ですよね。

他の魚は?

シガテラのリスクが高い「シガテラ毒魚」について、18種類の魚が規制の対象になっていることをご紹介いたしました。

規制されている18種類に対して、母数は400を超えるのです。シガテラ毒魚以外の魚についてはどのようになるのでしょうか。

シガテラ毒魚のほとんどは熱帯の海洋の魚でした。

ここで懸念されるのが、有毒なプランクトンが北上している中、果たして亜熱帯や温帯の魚のシガテラリスクは上がらないのかということです。

単純に考えると毒に犯された餌が増えるわけですから、北の魚も危なくなってくるはずですよね。

ようやく都市伝説らしくなってきたところで、このお話は終わってしまいます。

まとめ

私はブリが大好きです。

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ボーン

最後までお読みくださいましてありがとうございました。

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