ナーシャ・ジベリの偉業

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平素お世話になります。

2017年、スクエアエニックス社が提供するテレビゲーム『ファイナル・ファンタジー』シリーズが30周年を迎えますね。私も、FFはほぼ全ナンバリングをプレイしてます!

そんなFF、ここまでのロングランを達成するためには、多くの天才が携わっておりました。今回はその中でも、「伝説の天才プログラマー」と呼ばれている

ナーシャ・ジベリ

について、まとめていきたいと存じます。

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ナーシャ・ジベリ氏の来歴

名前:ナーシャ・ジベリ(Nasir/Nasser Gebelli, ناصر جبلی‎ )

ナーシャ・ジベリ氏は1957年、イランで生まれました。そして、ナーシャ氏はイランの王族なのです!

※日本語では「ナーシア・ジェベリ」、「ナシャ・ジェベリ」など様々に表記されることがございますが、本エントリーでは「ナーシャ・ジベリ」で統一させていただきます。

AppleⅡのゲームクリエイター時代のナーシャ・ジベリ

ナーシャ・ジベリ氏は、イラン革命によりアメリカに渡り、情報工学(コンピュータ科学)を学びました。

1980年、ナーシャ・ジベリ氏が23歳のとき、友人のジェリー・ジューエル(Jerry Jewell)と共にAppleII用のゲーム製作会社シリウスソフトウェア(Sirius Software)を立ち上げました。

ナーシャ・ジベリ氏は一時期は月に1作というハイペース製作の中、『ゴーゴン』(Gorgon)や『スペースエッグズ』(Space Eggs)などのヒット作を世に送り出すという超人的なゲーム開発力を発揮しました。

しかし、立ち上げから1年後の1981年にナーシャ・ジベリ氏はシリウスソフトウェアを退社しました。

追記:故スティーブ・ジョブズ氏のビジネスパートナー「ウォズの魔法使い」として有名なスティーブ・ウォズニアック氏が飛行機事故で記憶喪失になってしまった時のこと。

ウォズニアック氏が何も思い出せず、Sirius Softwareでナーシャ・ジベリ氏が開発したゲームを夢中でプレイすることで記憶が回復したという逸話も残っております。

これは後に映画化された『バトル・オブ・シリコンバレー』にもそういう描写があるのです。

さらに、ウォズニアック氏はナーシャ・ジベリ氏に対して直接お礼したとか。すごいシーンですね。


▲『ゴーゴン』(Gorgon for AppleⅡ-1981)
水平スクロールシューティングゲーム。

▲『スペースエッグズ』(Space Eggs for AppleⅡ-1981)
上から攻撃してくるエイリアンを避けながら、攻撃するシューティングゲーム。

その後、ナーシャ・ジベリ氏は新会社ジベリ・ソフトウェア(Gebelli Software)を立ち上げました。

それ以降、『ホライズンV』(Horizon V)・『ジーニス』(Zenith)といった現在のFPS(ひいては3D)の元祖といえる個性的な作品を製作するようになりました。

時代がナーシャ・ジベリ氏に追いついてなかったからかヒットには恵まれず、1983年のアタリショックの影響もあり、1984年に前出のシリウス共々倒産の憂き目を見てしまいました。


▲『ホライズンV』(Hrizon V for AppleⅡ-1982)
擬似3Dシューティング。この時代に奥行きの概念を表現したナーシャ・ジベリ氏!

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任天堂、スクウェアとナーシャ・ジベリ

アタリショックの後、ナーシャ・ジベリ氏は世界放浪の旅に出ておりました。

しかし、ある日友人のソフト会社経営者ダグ・カールストン氏(Doug Carlston)からナーシャ・ジベリ氏に誘いが。なんでも、ファミリーコンピュータ(ファミコン)の旗揚げにプログラマとして参加しないか、というのです。

その誘いに興味を持ったナーシャ・ジベリ氏は日本へ向かいました。

ナーシャ・ジベリ氏は任天堂で宮本茂氏と面会するがあまり気が乗らなかったようです。

結局はスクウェアで出会ったジベリファンの坂口博信氏に熱心に口説かれて、スクウェアへ入社することとなりました。

ちなみに、坂口博信氏によると、ナーシャ・ジベリ氏は毎日ステーキを食べるとのこと。彼の才能はそのハングリー精神から来ているのかも!

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初期FFなどを支える大黒柱だったナーシャ・ジベリ

ナーシャ・ジベリ氏はスクウェアで、当時は珍しかった3D描写の『とびだせ大作戦(1987)』『ハイウェイスター(1987)』などを手がけました。

その後、ナーシャ・ジベリ氏の代表的仕事とも言えるFFシリーズの開発にメインプログラマとして参加しました。

ナーシャ・ジベリ氏は間違いなく初期「FF」を支えた中心人物の一人。FFシリーズが生まれたのは彼の功績によるところが大きいといえるでしょう。

ちなみに、ナーシャ・ジベリ氏がFFシリーズの製作に携わったのは『FFⅢ』まででございます。

彼は『FFⅢ』の後、続けて『FFⅣ』も担当する予定だったのですが、1993年に『聖剣伝説2』の開発に参加後、スクウェアを去ることとなります。

ナーシャ・ジベリ氏、再び放浪の旅へ…

追記:ナーシャ・ジベリの現在

ナーシャ・ジベリ氏が現在何を行っているのかについては明確な情報はございません。

明らかなこととしては、坂口博信氏を始めとするスクウェアのスタッフとナーシャ・ジベリ氏の間にはまだ交友があるということ。

FF開発スタッフの1人、ジョン・ロメロ氏は2012年にナーシャ・ジベリ氏をFF25周年記念の式典に電話でさそったという旨のツイートをしております。

残念ながらこの夢の式典は実現しませんでしたね。

噂によるとナーシャ・ジベリ氏は現在、イランで再びプログラミング関係の仕事をなさっているとか。

噂される謎の技術ー神業

ナーシャ・ジベリ氏は先述通り並みのプログラマーではなかったのです。

ソフト単体のプログラミングだけでなく、ハードのプログラムとの関連性を利用した、通常なら考え付かないようなコードで、原案者の様々な発想をゲームに落とし込むことができました。

『とびだせ大作戦』『ハイウェイスター』

『とびだせ大作戦』『ハイウェイスター』については、先述のように3D描写がなされています。

それも高低差まで表現するために、ラスタースクロールという技法を用いているのです。それは当時ファミコンでは実現不可能とされていた技法。それをサラっとやってのけるナーシャ・ジベリ氏は何者なのでしょうか…。

なんという疾走感!!

ちなみに、『とびだせ大作戦』には当時珍しかったコピープロテクトを施しており、もし海賊版などをプレイした場合、ナーシャ・ジベリ氏の署名付メッセージが表示され、プレイができなくなります。

「僕のゲームに興味を持ってくれてありがとう。残念だけど、君はこの違法コピーをプレイすることはできないよ。でも、いい知らせがある。ゲームショップに行けばこのゲームを買うことができるよ。 ナーシャ

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『FFⅠ』、『Ⅱ』、『Ⅲ』の飛空挺や戦闘

ナーシャ・ジベリ氏について、これは比較的有名な逸話かもしれません。

『FFI』の開発にあたり、石井浩一氏は「飛空挺に影をつけて浮いているように見せたい」と坂口氏に提案したのですが、坂口氏は「そんなの無理だ」と言いました。

しかし、石井氏が後日、ナーシャ氏に相談したところ、その翌日には飛空船に影がついている上に通常歩行の8倍速移動を実現させ、スタッフを驚かせたそうです。

8倍速の動作に関しては、ファミコンのCPUのエラッタに近い挙動を使用して実現していたとのこと。

実際、ナーシャ・ジベリ氏以外にこの8倍速移動を実現できるプログラマはいないとか。


また、戦闘シーンについても、ナーシャ・ジベリ氏はその技術を利用。ファミコンの後継機であるスーパーファミコンに見劣りしない、スピーディな戦闘を実現しています。

ちなみに初代『FF』の隠しゲーム15パズルはナーシャ・ジベリ氏が勝手に作ったものであるという逸話もあります。

『FFⅢ』のプログラム全般

もう、皆様はうすうす気づいていらっしゃるかもしれませんが、ナーシャ・ジベリ氏は、ハードに依存するコードを書くことが多いのです。

特に『FFⅢ』については、ナーシャ氏がところどころに豪華な演出を含めるために、難解なコードが書かれたといいます。

その多くがハード(ファミコン)自体に依存するものが多く、FFⅢのリメイクを実際に出すことができたのは、2006年でございます。

ナーシャ・ジベリ氏は実に16年先の技術を実現していたということになります。

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自分の書いたコードは覚えている

あるとき『FFⅢ』の開発において重大なバグが発生してしまったといいます。

ナーシャ・ジベリ氏に指示を仰いだところ、修正するべき部分のプログラムコードを電話越しに語り、電話を受けた開発スタッフを驚かせたのです。

坂口博信氏も同じようなエピソードに触れており、ナーシャ氏がビザの都合で帰国した際に国際電話でバグの症状を相談したところ、電話口で彼の指示通りにプログラムを修正したところバグが直ったそうです。

つまり、ナーシャ・ジベリ氏はプログラムリストをすべて暗記していたのです!

露出を避ける

ナーシャ・ジベリ氏はこれらの経歴から、一種神格化されております。それをうけてナーシャ氏自身の意思で、メディアなどへの出場を最低限に抑えているそうです。

まとめ

そして、伝説へ…

ってそれドラクエやないかーい(雑)

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

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