海外旅行だけでなく国内旅行でもよく使われる飛行機。
統計上、世界一安全な乗り物として日々、多くの人々・物資を運んでおります。
高速で大空を飛ぶ飛行機ですが、飛行距離も長いため場合によっては一度離陸してしまうと何時間も空港に到着しないことも。そんなときに尿意・便意を催してしまったら… 当然、飛行機にはトイレが設置されております。
しかし、その際に便座の形状に意識を向けたことはございますでしょうか。
実は最新の飛行機はすべて「U字型」の便座を採用しているのです。
・・・偉い人の趣味ではないのです。このU字型の便座の採用にはすこしグロテスクな理由があったのです。
今回は飛行機のU字型の便座についてご紹介したく存じます。
旧式システムの便座
先に「最新の飛行機のトイレの便座」と述べましたように、昔(1960年代~1970年代)は通常の家庭用のトイレでも見られる「O字型」の便座も採用されていたのです。
循環式
最近の飛行機のトイレの仕組みに関しては後述いたしますが、昔の飛行機のトイレはその仕組みとは異なりました。
空を飛ぶ飛行機は当然下水道と繋がっておりませんので、トイレに使う水にも限りがございます。そこでどうにかしてトイレで使う水の量を抑えなければならないのです(この考え方は現在も変わっておりません)。
そこで昔は一定量の水をトイレ用の水として飛行機に積載。トイレを流した場合、途中で汚水がろ過され、ろ過後の水がトイレ用の水として再利用されるという「循環式」を採用していたのです。
昔の便座
このようにほとんどの機体ではオーソドックスな「O字型」便座が採用されておりました。
問題点
上記のような循環式の水洗トイレは一見問題なさそうですが、やはり衛生面・洗浄力などで若干劣る部分がございました。
そこで新たな仕組みが開発されたのです。
最近のシステムの便座
さてここからが本題。新しい洗浄システムは非常に優れたもので、各飛行機会社は続々と採用することに。
バキューム式
飛行機のトイレをご利用なさったことのある方なら経験あるかと存じますが、流すボタンを押すと、青い液体が少し流れ、爆音と共に排泄物が吸引されますよね。
新しいシステムは少量の薬品で便器についた汚れを落とした後、それを強い力で吸引するという「バキューム式」というものなのです。
ちなみにこの吸引力は掃除機のようにモーターを利用するようなものではなく、機内と機外の空気圧の差を利用したもので、中の空気が外に猛烈な勢いで押し出されることになります。自然の力は恐ろしいですね。
用いる薬剤は一回の洗浄あたりコップ一杯分と重量を大幅に削減することが出来るので、燃料が重要になってきた現代では画期的な技術ですね。
O字型の悲劇
上記の「バキューム式」が採用され始めた当時は、「O字型」の便座も採用されておりました。
しかし、バキューム式の欠点と申し上げましょうか、バキューム式とO字型の組み合わせには思わぬ落とし穴があり、恐ろしい事故が起こってしまったのです。
あるフライトで体の大きな男性がトイレを利用したそうです。
体の大きな男性とO字型の便座…そして強力なバキューム。体の大きな男性がO字型の便座に座るとほぼ便器内は密閉状態になりますよね。
その状態で流すボタンを押してしまったのです。その結果、男性の臀部から内臓の一部が吸い出されてしまうという大惨事に。
この事件をきっかけに全ての飛行機でU字型の便座が採用されることになったといいます。
まとめ
飛行機のトイレは使わない方向でいこう
最後までお読みくださいましてありがとうございました。