フジツボを気持ちが悪いと感じる方も少なくないはず。
小さな山形の突起に開いた穴。それが無数に集まっているとやはり嫌悪感を禁じえません。(フジツボが好きな方には申し訳ございませんね)
さて、今回はそんなフジツボに関する都市伝説。
なんでもフジツボは、
人体にも寄生し得る
というのです。
今回はこの都市伝説についてご紹介させていただきたく存じます。
目次
フジツボについて
まず「フジツボ」が何者なのかについてご紹介したいと思います。
フジツボは何者なの?
フジツボは実はカニや海老などと一緒の部類、「甲殻類」に属します。そしてその中の「フジツボ亜目」に分類されます。
つまり、あの富士山状の鱗のような突起は「殻」なのでございます。ということは本体は中にいるということですね。
フジツボ、動かざること山の如し
フジツボは固着動物であり、幼生が一度根付いたら、その場を動くことはございません。カニや海老などの他の甲殻類についている「足」に相当する部分は獲物を口まで運ぶ「触手」としての役割しか果たしません。このような足を「蔓脚(まんきゃく)」と呼びます。ちなみに画像検索はフジツボが苦手な人にとってかなり危険ですのでご注意ください(私のHP:0)
成長の際は脱皮し、穴から皮をポイッと出すそうです。
ちなみにフジツボについて穴が沢山開いているイメージがある方が多いかと存じますが、その穴の1つ1つにフジツボが入っています。このように群生しているのは、フジツボの固着動物であるという性質ゆえ、群生しなければ繁殖することが困難だからです。
つまり、フジツボがフジツボを呼び、そのフジツボがまたフジツボを呼ぶ。そして皆様が怖がるフジツボ帝国が誕生するのですね。
クジラにも寄生するフジツボ
岩やコンクリートなど固いものの表面にくっついているイメージのあるフジツボですが、実は生物にもくっつきます。
最たる例は海の王者「クジラ」。あの堂々とした巨体にもフジツボは群生することが多々あるようです。ちなみにその際はクジラの体内に食い込み、埋没、殻の部分だけが外に見える状態になっていることが多いそうです。
痛くねぇのかよ!クジラさんの懐の広さには頭が上がりません。
「膝の皿屋敷」
「ヒ ザ ノ サ ラ ヤ シ キ」
と『けいおん!』というアニメでも取り上げられた都市伝説。その元ネタと思われるエピソードをご紹介したく存じます。
楽しいはずの海水浴
これはある夏の海水浴シーズンでのお話。その日も快晴、絶好の海水浴日和でした。
1人の男性が仲間と共に砂浜ではなく磯の方で行ってはしゃいでいる際に、ふいに足を滑らせ転んでしまいました。
ただこれはよくあること。それに傷はかすり傷ほどだったので、その後も男性は気にせず海水浴を楽しんでおりました。
帰宅後
力いっぱい遊び尽くし、帰宅した主人公はもうヘトヘト。しかしここで体に異変を感じます。
膝が痛い
膝を見てもあるのは、海辺で転んだ際にできたかすり傷のみ。それに男性もまだ若く、傷はもう治りかかっております。
しかし、どうにも痛い。かすり傷とは何か違う痛みを感じる。
とはいえ、まだ病院には行くほどでもないかと思った男性はその日はひとまず寝ることに。
翌日
翌日、男性は激痛で目を覚ましました。膝が痛い。
ベッドから降り、立ち上がろうとしましたが、痛くて動かすのは困難。やっとの思いで動かすと、膝にまた別の感覚が。
ジャリジャリ
何か固いものが擦り合わさる音が聞こえたというのです。とにもかくにも普通ではないと感じた男性でしたが、歩いて病院まで行けそうもありません。そこでやむなく救急車で病院に向かうことに。
病院のレントゲン
病院に到着した男性は医者からレントゲンを撮るよう言われました。
そしてレントゲンから判明したのは、
膝の皿に無数のフジツボがこびりついている
という症状でした。ここで男性は思い出します。やはりあの岩場での転倒か!あの岩場での転倒により膝の皿の表面にフジツボの卵が付着。それが成長したというのです。
もし発見が遅くなっていたら、フジツボはさらに繁殖を続け、男性の骨を蝕み、命の危険にさらされていたそうです。
フジツボは人に寄生するの?
以上が、フジツボにまつわる「膝の皿屋敷」という都市伝説。
磯で転倒するなどよくあることなので、もしこれが実話だとしたら怖いですね。そもそもフジツボは人に寄生できるのでしょうか。クジラには寄生できるようですが…
ヒントは浸透圧?
フジツボは甲殻類と申し上げましたが、甲殻類のほとんどは殻の下は粘膜上の肌になっております。甘エビなんかを食べる際、殻を剥くとヌメっとしておりますよね。
フジツボも上部なのは殻の部分だけ。中のフジツボの本体はぷにゅぷにゅなのです。
そんな皮膚が粘膜になっている動物にとって弱点なのは、体液とその周りの水の濃度の差。この場合、塩分濃度の差です。フジツボの全ての種は海水に生息しており、淡水には生息しておりません。したがって、フジツボの体液も海水に近い塩分濃度になっているのです。
仮にフジツボがより塩分の濃い部分に固着してしまった場合、フジツボの体内から外部に水分が浸透、フジツボは脱水症状に。これでは生きられません。
逆にフジツボが塩分の薄い部分に固着してしまった場合、外部からフジツボの体内に水分が浸透していくことになります。その結果フジツボはぶよぶよに。これでも生きていくことができません。
ちなみに浸透圧については、ナメクジが塩をかけるととける際にも起こります。詳しくは以下のエントリーにて。
人間の体液の塩分濃度VS海水の塩分濃度
先に「ナメクジの記事」でも登場しましたが、人の体液の塩分濃度は約0.9%。そして海水の塩分濃度は約3.5%です。
したがってフジツボの体液の塩分濃度が海水とほぼ同じであると仮定すると、フジツボ濃度の方が人間の濃度よりも約4倍弱濃いことになります。
フジツボは寄生不可能
フジツボが仮に運よく(?)人間に固着したとしても、その後は浸透によってフジツボの体内の水分量が増加して、最悪の場合破裂。フジツボの生存は困難を極めることになります。
さらに人間には高い免疫力があり、そのような寄生生物を防ぐ機能が働くと存じますので、なおさら無理なのかと。
でも珍例「膝に巻貝が寄生した少年事件」も
上記のように、フジツボの人体への寄生は不可能かと私は考えております。
しかし、甲殻類ではございませんが、同じく浸透圧に弱い種である「貝類」。この貝類に属する巻貝の卵がアメリカの少年の膝に寄生、そのまま成長したという事例もございます。
この事例につきまして、真偽の程は不明ですが、一時広く話題になり、テレビニュースなどでも取り上げられた記憶がございます。
【閲覧注意】海岸で転び、傷口から貝の卵が侵入。その後、皮膚の中で孵化する|あまえび速報(外部リンク)
まとめ
ともかく、海で遊んでるとぼうこんが来るから、やめろよ!
<<ナメクジに塩をかけると溶けるが、砂糖をかけても溶ける>>
<<勝俣州和のゾッとする話に登場するゲジゲジ心霊スポットは?>>
最後までお読みくださいましてありがとうございます。