皆様は「ナメクジに塩」ということわざをご存知でしょうか?
ナメクジに塩とは、
元気をなくして、すっかりしょげてしまうこと、また、
苦手なものを前にして、萎縮してしまうことのたとえ
です。
このことわざはナメクジに塩をかけると溶けてしまうことから生まれました。皆様は、「ナメクジに塩をかけると溶ける」ということは恐らくご存知かと存じます。
しかし、こんな噂があるのです。
ナメクジに砂糖をかけても溶ける
今回はこの都市伝説をご紹介いたします。
目次
ナメクジが溶ける理由
まずはナメクジが塩をかけられると溶けてしまう理由をご説明いたします。
ナメクジの祖先は貝
ナメクジが嫌い!
そう感じている方にとって、その苦手な原因のひとつに表面のあのネバネバが挙げられると存じます。カタツムリと似ていますよね。
ナメクジの祖先は元は巻貝。
それが進化し、肺を持ち、陸上で生息できるようになったのです。
ちなみに、カタツムリもナメクジと同様に巻貝の進化系です。実はカタツムリの方が進化前で、ナメクジはカタツムリの進化系なのです。殻が付いていたほうが進化後と思いがちですが、実はカタツムリにとってあの大きな殻は相当な重量。進むのもしんどいのです。ですので、殻を失い、ナメクジのような形になったといわれています。
貝も塩に弱い
ところで皆様はテレビなどでよく砂浜に開いた穴ぼこに塩をまいて飛び出てきた貝を捕まえる子供達を見たことはございませんか?
代表的な例としてマテ貝が挙げられます。
ナメクジの先祖である貝もまた、ナメクジ同様塩に弱いのです。ただ、普段は海水の中で生息しているため塩による影響に多少は強いというだけです。
具体的には体液と海水との間の塩分濃度に差がないからです。もし差があったらナメクジみたいに「浸透圧」によって死んでしまいます。
ん?浸透圧?
浸透圧
皆様は浸透圧という言葉をお聞きになられたことはございますでしょうか。
浸透圧は主に物理学や化学で用いられる用語です。
例えば、同量の塩水Aと純水Bの間に水しか通さない膜C(半透膜)を置いたとしましょう。
すると純水Bから塩水Aに水分が移動します。最終的に塩水Aの方が水かさが増します。
この結果、塩水Aと純水Bのそれぞれの水分量が同じになったのです。
ある液体の水分が半透膜を通って他の液体側に移動することを、浸透と言います。そしてこのときに生じた圧力が浸透圧なのです。
浸透では、濃度の薄い液体から濃度の濃い液体へと水分が移動します。
ナメクジの水分が塩に奪われている
ここでナメクジの話に戻らさせていただきますが、ナメクジに塩をかけたとき、上記の浸透が起こっているのです。
つまりナメクジの皮膚を半透膜として、ナメクジの体内から塩へと水分が移動します。
ナメクジの皮膚は一応はあるものの、ほぼ無いに等しく、浸透が他の生き物の皮膚に比べて速いのです。
したがって塩をかけたらすぐに、ナメクジの水分が体外に浸透してしまいます。溶けているというよりかは、干からびているのですね。漬物と同じです。
ナメクジ退治に砂糖も使える
基本的に浸透圧は濃度によって決まります。ナメクジにかける物質が水溶性で、濃ければ濃いほどナメクジの水分を多く、そして素早く奪います。
砂糖も水に溶けますよね。砂糖水があります。
そこで、砂糖をナメクジにかけた場合も浸透が起こり、ナメクジを退治することができます。
他にもいろいろ使って退治することができます。
実は人間も塩で溶ける?
さて、ナメクジが塩だけでなく砂糖でも溶けてしまうということは浸透という現象が起こるということで説明が付きました。
しかし、それが人間でも起こり得るのです。
お風呂に浸かっていたら?
もし皆様に長風呂をしてしまった経験があるならばご存知かと存じますが、長くお風呂に入っていると手先がふやけますよね。
それは浸透が起こっているのです。ただこの場合は人体から水分が出ているわけではなく、お風呂の水分が人体に浸透しております。人間の場合、皮膚が厚いため浸透が緩やかなんですね。
人間の体液には微量の塩分が含まれており、大体0.9%の濃度の食塩水と同じといわれております。ちなみにそのような食塩水を生理食塩水といいます。
ちなみに10日間水に浸かり続けるという実験を試みた男性もおります。こちらについては、カラパイア様にてご紹介されておりましたので、是非興味がございましたらお読みください。
10日間 水の中に手をいれっぱなしにするとどうなるか?:カラパイア(外部リンク)
では、海水に浸かっていたら?
よく「母なる海」とか「海水の塩分濃度は人間の体液とほぼ同じ」とか伺いますが、実は海水の塩分濃度は約3.5%。人間のそれに比べて高い濃度水準になっております。
すると長時間海水に浸かっていたらどうなるのでしょうか?
日本の戦国時代での話
群雄割拠の戦国時代。時に敵の総大将を討ち取った場合、彼の首をとるというのは皆様ご存知かと存じます。それは確かに敵を討ち取ったぞということを証明するため。これを見せ、武功を上げていくのです。
ただし、時は戦国。冷凍庫はおろか、冷蔵庫もない時代です。武将の首を腐らせず保管する術が必要です。そこで武士が用いたのが塩。武士は武将の首を塩漬けにして、保管していたといわれています。
つまり、人間も塩につけておけば、浸透により体内の水分が出てしまうということを侍達は知っていたのですね。
あくまで推測の話
塩によって、たとえ人間でも時間が経てば、浸透によって水分が体外に出てしまうことがわかりました。
それでは海水に浸かり続けていたらどうなるか。浸透以外の問題(呼吸・飲食・体温)等には耐えられるとしたら、どうなるでしょうか。
海水の塩分濃度と体液の濃度が一緒になるためには、当然人体から徐々に水分が奪われていくことになります。それに体液の絶対量など、海水量に比べたら、ほんの一滴。体の塩分濃度が海水と同じ3.5%になるまで、体の水分が抜け出していくと考えられます。
したがって、生理食塩水を適時補給することをしない限り、次第に脱水症状に陥り、失水すると考えられます。
大変危険ですので、行わないでください。
まとめ
砂かけババアになろう!
最後までお読みくださいましてありがとうございます。