皆様は異世界に行ったことはございますでしょうか。私はございません。
異世界に行ったらやってはいけないことがございます。
よもつへぐい
今回はこの行為についてご紹介したく存じます。
目次
よもつへぐいとは
「よもつへぐい」って日常生活を営んでいたら滅多に耳にしませんし、口にもしませんよね。
よもつへぐいは日本最古の歴史書『古事記』に記されており、古い言葉なのです。
「黄泉戸喫」と書き「よもつへぐい」と読みます。
「黄泉戸喫」の字を読み解くと、「黄泉」の国の釜「戸」で煮炊きされた食べ物を食べる(「喫」)。
すなわち、よもつへぐいとはあの世の食べ物を食べることを意味します。
「よもつへぐい」は古い言葉で、なおかつ、普段では考えられないような概念を指す言葉ですので、なるほど「よもつへぐい」という言葉を使う機会というのは滅多にないわけです。
よもつへぐいを行った場合
ではよもつへぐいを行った場合(あの世の食べ物を食べると)、どうなってしまうのでしょうか。
その答えも『古事記』に記載されております。
よもつへぐいについて記されているエピソードを要約いたしますと、
イザナミという女神がカグツチという火の神を産んだことで火傷を負い死んでしまいました。
イザナミの夫であるイザナギは亡き妻のことを忘れられず、黄泉の国に迎えに行きました。しかしながら、イザナミは現世に帰ることを断ります。
その理由が、黄泉の国の食べ物を食べてしまったからなのです。これがよもつへぐいです。
イザナミは断ったものの、気持ちとしては現世に帰りたい。そこでイザナミはイザナギに対し、自分が帰れるかどうか黄泉の国の住人と話し合ってくるからその間は絶対に覗き見をしないでほしい旨を伝え消えてしまいます。
イザナギはいてもたってもいられず覗いてしまいます。
その目に映ったのは腐って蛆虫がわき、厄雷神がまとわりついたイザナミの姿でした。驚いたイザナギは逃げ出します。
イザナミはそれを追いますが、追いつけず「地上の人間を毎日1,000人コロす」と叫びます。
イザナギはそれに対し「私は人間を毎日1,500人生まれるようにしよう」といいました。
よもつへぐいを行った場合、その世界の一員となってしまうのです。
そして、よもつへぐいを行った者は、元の世界には戻れないのです。
ちなみに古事記の影響を受けている都市伝説に「きさらぎ駅」という都市伝説がございます。
ギリシャ神話のよもつへぐい
ギリシャ神話と古事記には神話だけに親和性があるといわれております。
よもつへぐいもそのひとつです。
ギリシャ神話の「ペルセポネの冥界下り」という話。
この話の主人公ペルセポネは冥界の王ハデスに冥界の食べ物を少しだけ食べさせられてしまいます(追記:ちなみにその食べ物はザクロです)。
その結果ペルセポネは1年のうち4ヶ月は冥界にいなければならなくなりました。
これはまさしくよもつへぐいに相当する話と考えられますね。
追記:ちなみに、2chなどでよく話題になる動画「Persephone Numbers Station」という動画のPersephoneはこのペルセポネから名前を取っているといわれております。
よもつへぐいを題材にしたアニメなど
よもつへぐいという言葉自体はなかなか聞くことはございませんが、よもつへぐいをモチーフにしたのではないかと呼ばれるアニメ作品・ゲーム作品がございます。
以下、よもつへぐいを題材にしたアニメやゲームをいくつか挙げていこうと思います。
千と千尋の神隠し(スタジオジブリ)
『千と千尋の神隠し』では、主人公の千尋とその両親がトンネルをくぐり現世から異世界にトリップいたします。その世界で両親は屋台の食べ物を貪り食い、豚にされてしまいます。
これがよもつへぐいなのではないでしょうか。
千尋は何も食べなかったので、その被害には遭いませんでしたが、今度はその世界に拒絶されどんどん体が消えていってしまいます。そこでハクという男の子が千尋におにぎり(団子?)を渡し、千尋がそれを食べることで、その世界の一員となり体の消滅を止めることができる描写がございます。
これもよもつへぐいの一面ですね。
物語の最後では無事現世に帰ることができますが、千尋は大冒険をしています。
一度よもつへぐいをするとそう簡単には、元の世界には戻れないということなのでしょうか。
SIREN(ソニー・コンピュータ・エンターテイメント)
『SIREN』では、赤い水を体内に取り入れたキャラクターはたとえ生存していたとしても、エンディングで現世に戻ることはできません。
赤い水を飲むことが、よもつへぐいとなるわけです。
逆にストーリー上赤い水を体内に取り入れなかった生存者は、形はそれぞれですが、現世に生還を果たしております。
赤い水を取り込み、よもつへぐいを身をもって表現してくれたのはSDKでございます。SDKよ、永遠に。
仮面ライダー鎧武(テレビ朝日)
『仮面ライダー鎧武』では、主人公達は現世とは別のヘルヘイムという死の国に群生する錠前のような果物を変身ベルトにセットし変身いたします。
普通の人間がその果物を口にしてしまうと、異形のものとなってしまいます。
古事記のよもつへぐいと似ていますね。
また、「ヨモツヘグリアームズ」という敵役ライダーも登場するので、この物語は古事記のよもつへぐいを題材としている要素を多々見ることができます。
まとめ
異世界に行ったら、よもつへぐいをしないように!!
<<探偵ナイトスクープで紹介されたインコの発言が明らかに異世界>>
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました!!