7月7日といえば七夕です。
七夕で欠かせない要素の一つに、笹があると存じます。少なくとも皆様が小学生を卒業するまでは、馴染み深かったのではないでしょうか。
そして笹飾りで最も盛り上がるのが、五色の短冊ですね。皆、思い思いの願いを書いて、笹にかけるアレ。五色の短冊といわれておりますが、皆様は、色と願い事の関係を意識して短冊に挑んだことはございますでしょうか。そう、実は
願い事によって適切な短冊の色が異なる
というのです。
今回はこの七夕にまつわる伝承をご紹介したく存じます。
目次
7種類の七夕飾り
五色の短冊の各論に入る前に、まずは7種類の七夕飾りについてご紹介いたします。七夕飾りには、
- 五色の短冊
- 紙衣
- 巾着
- 網飾り
- 折鶴
- 屑籠
- 吹き流し
がございます。地域や風習によって増えたり減ったりしますが、代表的なものとしてこの7つを挙げさせていただきました。
以下には各飾りの意味をご紹介しますが、諸説ございますので、必ずしもそうとは限らないという点をご了承ください。
五色の短冊
これは後に詳しく述べますが、現段階では個々人の願い(邪念)を託すものというイメージを持ってくださればよろしいかと存じます。
紙衣(かみころも)
紙衣とは和紙で作った小さな着物のことです。
古来、七夕では選ばれた女性が衣を織って、神に捧げるという風習があったそうです。そのことから、紙衣は後世にわたってその裁縫の能力が培われ続けますようにという願いをこめて飾られておりました。
しかし、現在となってはそのような風習はございません。そこで紙衣を飾る意図としては、何の職に限らず「手に職をつけられますように」、「技能が向上しますように」という願いをこめるためだと考えられております。
加えてこの紙衣に体の邪気を転じ、身代わりになってもらうという意味や、着る物に困らないようにという意味もあるようです。
巾着(きんちゃく)
巾着は巾着袋として現在も使われているので、馴染み深いものかと存じます。
巾着は物を入れるものですが、昔は特にお金を入れる袋として用いられておりました。
したがって、七夕で巾着を飾ることは、富の繁栄、浪費の防止を祈ることを意味します。
網飾り
網飾りとは網のように紙を切った飾りです。別名で投網(とあみ)とも呼ばれております。名前だけ聞いただけではピンとこないかもしれませんが、写真をみればアレか!となると思います。
これは別名の通り、漁で用いる投網をモチーフにした飾りです。
七夕に網飾りを飾ることで、大漁、すなわち、商売繁盛を祈っているのです。幸運や良縁を逃がさないという意味合いもございます。
折鶴
折鶴は皆様にとっては馴染み深い「折り紙の鶴」です。
千羽鶴などに用いられる折鶴は、七夕では家族の健康や長寿、安全を祈って飾られます。
屑籠
屑籠(くずかご)はその名の通り、ゴミを入れるかごをモチーフにした七夕飾りです。紙でかごを作り、その中に他の飾りを作る過程で出た紙くずを入れ込みます。
これは「整理整頓の心・物を大切にする心をやしなえますように」という願いを込めて飾られるのです。
吹き流し
吹き流しは、江戸時代の火消しが持っていた棒のような形、あるいはイカとも表現できる不思議な形をした七夕飾りです。これは実は織姫の織り糸とくす球をモチーフにしているのです。
紙衣と似た意味合いになってしまいますが、こちらも元々は「織姫様のように機織が上達しますように」という願いを込めて飾られました。
七夕の願い事ごとの五色の短冊
七夕飾りの五色の短冊。「5」という数字をお聞きになられてピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。五色の短冊は「木火土金水」という属性からなる「陰陽五行論」から生まれた七夕飾りなのです。
さて本題ですが、皆様はいまどのような願い事をお持ちですか?仮に1つ短冊に書くとしたら?
それを思い浮かべて各色を見ていきましょう。
青:木 ⇒ 縁・成長・開運
「彼女・彼氏がほしい!」
「結婚したい!」
「沢山のいいお客さんに恵まれたい!」
など、人や物との新たな縁に関する願い事は青い短冊に書くとされております。
さらに
「海外でスキルを磨きたい!」
「宝くじ5億円が当たりますように!」
など、飛躍的な成長も木の属性なので青い短冊に書くといいとされております。
つまり世に出て自分の可能性を広めたいという願い向け。
赤:火 ⇒ 名誉・知性・美
「将来、偉くなりたい!」
「不動産王になりたい!」
「ビル・ゲイツになりたい!」
など高い名誉に関する願い事は赤い短冊に書くといいとされております。
さらに、
「頭が良くなりたい!」
「ハーバード大学に合格したい!」
など知恵や学業成就に関する願い事も赤い短冊に書くといいとされております。
またまた、
「美しくなりたい!」
「格好良くなりたい!」
「センスを磨きたい!」
など美や直感に関する願い事も赤い短冊。
つまり知性を高めて尊敬を集めたいという願い向け。
黄:土 ⇒ 仕事・労働・所得
「ガッツリ働いて、バリバリ稼ぎたい!」
「月収1,000万円ほしい!」
など労働に伴う対価に関する願いは黄色の短冊に書くといいとされております。
つまり元気に働きたいて、稼ぎたいという願い向け。
白:金 ⇒ 事業・安全・投資・厄除
「起業して、収益を安定させたい!」
という事業に関する願いや、
「破産は困るから勘弁してくれ!」
という危険回避(安全)に関する願い、
「投資で成功したい!」
というギャンブル(宝くじとは微妙に異なる)的な願い、
「悪いことが起こりませんように」
という厄除け
これらはすべて白い短冊に書くといいとされております。
つまり、守るべきものを守りたいという願い向け。
紫:水 ⇒ 健康・安産・無病・自立
「この病気を治したい!」
「この子を無事に出産したい!」
「この病気にはかかりたくない!」
という健康の願い全般は黒(紫)の短冊に書くといいとされております。
また、
「自立できますように!」
という自立の願いや、
「仲直りできますように!」
という和解の願いも紫の短冊に書くといいとされております。
つまり、バラバラになった何かをまとめたい、壊れたしまった何かを治したいという願い向け。
願い事は個性的・具体的なほうが良い
七夕シーズン、スーパーの短冊をひょいと拝見すると「無病息災」とか「家内安全」とかよく見かけます。
しかし、そのような包括的な願い事は五色の短冊以外の七夕飾りで行われているので、せっかく願いをこめるのであれば本気で叶えたいことを具体的に書くことをおすすめいたします。
「えー、お前みたいに見てくるやつがいるじゃん。恥ずかしいわ!」
とお思いになられた方もいらっしゃるかと存じます。しかし見られることも儀式の一つと考えられているのです。ですので、恥ずかしがらず、できれば太い筆ではっきりと。
その代わり、名前を書くと色々と危ないので、名前を書く必要はないと存じます。
まとめ
結果的に、老人が多い近所の町内会の七夕飾りは紫一色になりました。ほぼ紫。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございます。