グローバル化は自国に害を及ぼす説

Pocket

現在、世界はグローバル化が進み、1つになろうとしております。

例えば、日本の呉服屋さんに行っても並べてある商品の9割は中国製やベトナム製。それは発展途上国の賃金が低く、コストが抑えられるからかもしれません。

では、農作物はいかがでしょう。TPPへの参加には至りませんでしたが、関税を撤廃することが正義のように語られていることもしばしばございます。

しかし、

グローバル化は国家を蝕む

という説がございます。

今回はこの学説をご紹介いたします。

スポンサーリンク
レクタングル大

ミクロ経済学の基礎(うまい棒)

いきなり面倒そうな話だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、まず

グローバル化は国家に繁栄をもたらす

という考えを持っている方が掲げるミクロ経済学の基礎をご紹介いたします。

前提

今回は仮に「うまい棒」を例に挙げさせていただきます。

国民は給料を使ってうまい棒を買おうとしています。

さらに市場は合理的であるとします。

ちなみに消費税は考慮しないこととします。

お客さんの視点

うまい棒はおなじみ10円。

でもそれが安くなればもっと多く買えますよね。

逆に高くなったら、あまり買えないことになります。

これを漠然とグラフに示すと以下のようになります。

※この右肩下がりのグラフを経済学で需要曲線ということもあります。

価格が上がれば(高くなれば)、需要(本数)は少なく

価格が下がれば(安くなれば)、需要(本数)は多くなるのです。

うまい棒会社の視点

うまい棒会社は何のためにうまい棒を作っているのか?そう、お金を稼ぐためです。

もしうまい棒が金の延べ棒と同じぐらい高価なものとして販売できるなら、会社は沢山のうまい棒を売って儲けを出したいと思うでしょう。

しかしうまい棒が10円でも売れず、1円でも売れず、1銭くらいの価値がないものだとしたら?会社はうまい棒を製造してもお金を稼げなくなってしまいます。ですので、うまい棒の生産量は自然と減ってしまいます。

以上を漠然とグラフに示すと以下のようになります。

※この右肩上がりのグラフを経済学で供給曲線ということがあります。

高く売れるなら沢山売りたい、

安く売れる場合はそこまでがんばりたくないと思うわけです。

両者の合わさる場所が市場価格

では市場での価格と数量はどう決まるか。

これを考える場合、お客さんも会社も両方満足するようにしなければなりません。つまり両者の不満がでない価格に決定されるのです。うまい棒が足りなくても困るし、余っても困るわけです。

勘のいい方なら、もうお察しいただけたかと存じますが、両者が満足するのは各グラフの交点が示す価格、数量です。

この接点の座標が示す価格と本数が、市場に出回るべきうまい棒の価格と本数なのです。

うまい棒市場がグローバル化した場合

さて、ここからうまい棒が世界に羽ばたきます。

お客さんが増える!

うまい棒の市場が世界規模に広がった場合、うまい棒を購入するお客さんが増えることになりますね。

これの現象をグラフ上に示すとなんとなく以下のようになります。

お客さんの曲線が右に移動しました。日本の需要曲線+アメリカの需要曲線+中国の・・・と足していくと傾きも変化するかもしれませんが、少なくとも左に移動することはございません。

お客さんの数が増えれば、その趣向は違えど、売れるうまい棒の本数は増えますよね?

では、会社は?

グローバル化前、うまい棒会社はうまい棒を独占的に販売することができていました。

しかしグローバル化によって、うまい棒のようなお菓子を作っている会社が集まっている市場に参入するため、世界的に見ればうまい棒(のようなお菓子)の供給量が増加します。

それを漠然と示したのが以下の図です。

これも左に移動しただけです。日本の供給曲線+アメリカの供給曲線+中国の・・・と各市場のうまい棒の生産能力を足していくと、当然うまい棒の生産能力は高まりますよね。

ではうまい棒は世界規準でどうなのさ?

グローバル化により世界に羽ばたいたうまい棒。この適正な価格と数量は先ほどの理屈からすれば当然、変化後のグラフの交点となるわけです。

いままで”P1″という価格であったうまい棒の価格は”P2″に変更されます。

基礎経済学においては、このグラフにおいて”接点T”よりも”接点T2″の方が、お客さんや会社にとっての満足度(効用)が大きいと考えることができます。

世界的に見た場合ですがね

その満足度の大きさの考え方については、大変申し訳ございませんが、他の書籍等をご参考いただけますでしょうか?

うまい棒だけじゃない!

実はこの理論はうまい棒市場を含む全市場で考えることができ、グローバル化を進めると、世界的な満足度が上がると考えられています。

時の政権がTPP参入のために国民に対して説明したのもこんな感じの内容なのです。

でも自国の経済は違う

上記のグローバル化の理論はあくまで学問。現実の経済は、そう簡単にみんなの満足度を向上させることなどできないのです。

そもそも海外に市場を広げたら

常に利潤の最大化を考える企業であるならば、自国民の満足度など考えません。そして基礎経済学の市場ではそのような企業が前提となっています。

ではそんな企業にとって全世界が市場になったらどうなるか。彼らは日本国内の需要に頼らなくても、世界に製品を売り込むことで利益を上げていくことができます。我々日本人に高い給料を支払う必要なんてない、と思ってしまうのです。

企業はほとんどの業務を人件費の安い海外に委託するでしょう。

つまり日本人への人件費は大幅に削減され、お財布はどんどん寂しくなっていきます。最終的には日本の企業が生産する製品を日本人が買えないという状況にもなりかねないのです。

未熟な産業は淘汰されてしまう

未熟な産業は淘汰されてしまう。そうお聞きになって「良い事じゃん!」とお思いになられた方もいらっしゃるかと存じますが、意外とそうでもないのです。

事実、日本の戦後の基幹産業である自動車産業は、アメリカ車に高い関税をかける事で守られてきたため、今の地位まで成長することができました。今では無関税でも世界と戦える産業に成長しています。

どんなに未来のある産業でも、スタート時点ではまだ弱いのです。そんな中、グローバル化を掲げて、関税を撤廃し、世界の強豪に囲まれてしまったら、成長できる産業も成長できません。

したがって、必ずしも関税を撤廃することが国を豊かにすることであるには繋がるわけではないのです。

まとめ

でも海外旅行行きたいし、輸入品好き。

ボーン

最後までお読みくださいましてありがとうございます。

スポンサーリンク
レクタングル大