本エントリーはショッキングな画像を用いておりますので、閲覧の際はご注意ください。
首なしでは生きられない。
皆様はそうお思いではございませんか？
前エントリーの一部で「あなたをあなたたらしめているのは、脳の前頭葉」という旨をご説明しました。
たしかに昔の処刑方法として、「ギロチン」という首を落下する刃物で切断するというものがございました。
実際にそのギロチンによって首なしになった受刑者はその場で息絶えてしまいました。
しかし、首なしの状態で18ヶ月も生き続けた猛者がいるというのです。それは
首なし鶏のマイク君
人間ではございません。
今回は首なしで１８ヶ月生き続けた鶏、マイク君についてご紹介したく存じます。
目次
首なし鶏マイクの逸話
以下に首なし鶏マイク君の逸話について記載させていただきたく存じます。
夕食用にしめた一羽の鶏
舞台はアメリカ合衆国のコロラド州フルータという農村。
ロイド・オルセン氏は農家を営んでおりました。
1945年9月10日の夕食として、オルセン氏は彼自身の育てていた鶏を食べることにしました。
彼は生後5ヶ月ほどの一羽の雄鶏を選び、その鶏の首に小さな斧を振り下ろしました。
首なしでもなお動く胴体
鶏の首は見事に切断され、通常なら鶏はしばらくすると動かなくなるはずでした。
しかし、どういうわけか、その首なし鶏は何事もなかったかのように辺りを走り回り、次第に鶏小屋の方に向かってふらふらと近づいていくではありませんか。
その首なし鶏の様子があまりの不気味であったため、オルセン氏はその日、鶏を食べることを諦め、そのまま眠りにつくことにしました。
翌日も動いていた首なし鶏
昨日の怪現象を目の当たりにした、オルセン氏は首なし鶏がいるであろう鶏小屋を覗くのが嫌でした。
もしあの首なし鶏がまだ動いていたら？そうでなくても、血まみれになっているかもしれません。
しかし、農家として家畜の育成はしなければなりません。そこで恐る恐る鶏小屋の中を覗いてみると、なんとあの首なし鶏が生きているではありませんか。
さらに普通の首がある鶏と同じように、餌をついばむような仕草や羽づくろいのような仕草をしていたのです。
当然その鶏にはくちばしはもちろん、首自体がございませんので、その行動は全く意味をなしておりませんでした。
オルセン氏は首なし鶏の生きる意志に感銘を受け、どうにか生き延びさせることに。餌をスポイトで与えるなど、延命措置がとられました。
そして、オルセン氏はこの首なし鶏に「マイク」という名を付け、大切に育てていくことにしたのです。
市場で賭けの対象
首がない鶏なんて生きているわけがない。
これが普通の考えです。オルセン氏も実際、このマイクと出会うまではそう考えていたに違いありません。
オルセン氏は首なし鶏マイクを賭けの材料に利用しました。
売り物である鶏と一緒に、マイクを市場まで運んで、友人達にこうふっかけたそうです。
「お前、この世に首なしで生きられる鶏がいると思うか？」
すると、友人達は揃って
「いいや、そんな鶏いるわけがない。いない方に、ドリンク一杯賭けてもいいぜ！」
オルセン氏はしめしめ顔。なにせ手許には実際に首なしで生きている鶏「マイク」がいるのですから。
この賭けで首なし鶏マイクは「奇跡の鶏」として地元で有名に！地方紙に取り上げられることもございました。
科学的調査
そんな中舞い込んできたのが、480kmも離れたソルトレイクシティの見世物小屋のプロモーターであるホープ・ウェード氏からのオファー。
オルセン氏はそのオファーを受け、首なし鶏マイクと共にソルトレイクシティに行きました。
ウェード氏はユタ大学でマイクを科学的に調査しないかと提案してきました。
ユタ大学にマイクを持ち込んだオルセン氏。
マイクの科学的調査が始まりました。様々な調査がなされた結果、ユタ大学が導き出した結論は
「首なし鶏マイクは生きている」
ということ。
この時点で、見世物小屋のプロモーター、ウェード氏はマイクの金銭的価値を見出しました。つまりマイクはいい見世物になると踏んだのです。
始まった全国興行
ウェード氏は、首なし鶏マイクの飼い主であるオルセン氏とオルセン氏の奥さんをつれて、ニューヨークやロサンゼルスなど、アメリカ中を巡っては、見世物小屋を開きました。
内容は当然、
奇跡の鶏マイク
その見物料は一人25セントでした。
収益は1ヶ月間で4,500ドル（現在の日本円で約600万円）にも上り、マイク自身にも10,000ドル（現在の日本円で約1,500万円）もの値がつけられました。
当初、マイクの体重は約1kgほどだったのに対し、この頃には約3.5kgほどにまで成長していたとも言われております。
この興行の結果、首なし鶏マイクは「奇跡のマイク」としてアメリカ中で人気になり、雑誌『LIFE』でも取り上げられるなど、アメリカで一番有名な鶏として君臨しました。
動物愛護団体からの批判
首なしで鶏を生かし続けている上、見世物にしている
という問題に対して、一部の動物愛好家も黙ってはおりませんでした。彼らはウェード氏とオルセン夫妻を激しくバッシングしました。
しかし当時の動物愛護団体が出した調査報告では、
「首を切り落とされた直後は不明だが、現在では普通の鶏と違いが見られず、とても苦痛を感じているようには思えない」
という首なし鶏を容認するような立場が取られ、事態は次第に収まっていきました。
首なしマイクの最期
1947年3月、アリゾナ州フェニックスを興行で訪れていたオルセン夫妻。
宿泊していたモーテルの一室で、いつものようにスポイトを使ってマイクに餌を与えていたところ、マイクは餌を喉に詰まらせ、窒息を起こして静かに息絶えてしまいました。
それはマイクが首を切り落とされてから、18ヶ月後のことでした。
どうして首なしで生きられたのか
ユタ大学では、首なし鶏マイクに対して様々な科学的調査が行われましたが、結局なぜマイクがそんな状態で生きていられているのかわかりませんでした。
ニューキャッスル大学のスマルダース博士は以下のように解釈しております。
首を切り落とすと、脳と胴体の接続が遮断されます。
短期的には脊髄の回路に酸素が残っているため、ニューロンが活発化して足が動くことがあります。ただしそれは通常15分程度のもので、18カ月間もこの反応が続くことはありません。
マイクの脳は80％近く残存していたのではないでしょうか。心拍度数・呼吸・空腹・消化をコントロールする機能は手つかずだったのでは。
脳幹は、脳の一番内側にある部分で、呼吸や心拍、血管運動、唾液分泌、セキ、姿勢保持など反射的な運動を司る部分です。
上図にあるように、脳幹は他の脳の部分と異なり、体へ直接繋がっております。したがって、首を切り落としても多少残る可能性はあるのですね。
とはいえ、首なし鶏マイクのケースは本当に奇跡です。
オルセン氏のひ孫のコメントがすごい
オルセン氏のひ孫さんはトロイ・ウォータース氏。彼の首なし鶏マイクへのコメントがロックすぎます。
亡骸はコヨーテか何かが食べたんじゃない？
アリゾナ州フェニックスで残念ながら死んでしまった首なし鶏のマイク。この後、この亡骸がどうなったのか不明のままでした。
しかし、ひ孫のトロイ氏によると、
「マイクはフェニックスの砂漠に置かれ、コヨーテに食べられたのだと思います」
とのこと。
本当かよ！！
金持ちにはなってないよ
先のウェード氏との見世物小屋ビジネスで多額の財産を手に入れたと思われたオルセン夫妻。しかしひ孫のトロイ氏によると実はそうではないようです。
「当時祖父は、干し草梱包機と2台のトラクターを購入し、馬とロバを買い換えました。
そのほかちょっとしたぜいたくとしてシボレー小型トラックも買ったそうですが、生活に大きな変化はなかったとのことです。」
そうなのかぁ…
まとめ
絶対に真似はしないでください。
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最後までお読みくださいましてありがとうございました。