皆様は、「龍」と聞いて、どんなイメージをお持ちになられますか?
「ああ、7つの玉を集めて願いを叶えてくれるやつでしょ?」
「雨、降らせてくれるんじゃない?」
「処女の血を狩る邪悪な存在じゃないの?」
「あれだ。魔女の正体だ。」
いろいろなイメージがあるかと存じます。
「龍」自体、想像上の生き物ですので、どれも正解です。
しかし、色々な考え方の中から今回は
東洋思想における龍
についてご紹介したくぞんじます。
目次
西洋の竜
東洋をご紹介する前に西洋の竜につきまして簡単にご紹介したく存じます。
邪悪なドラゴン
一神教である西洋において、ドラゴンは悪魔の使い、悪の化身として扱われることが多いです。
ドラゴンの語源は、古代ギリシャ語で「大蛇・ワニ」などを意味する「δράκων(ドラコーン)」だと言われております。さらに、このドラコーンは睨み付けるという言葉の派生語なのです。
邪悪とされる例
例えば、全エントリーに挙げた「ヨハネの黙示録」で登場した獣(サタン)については「竜」という表現がなされています。
また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、火のように赤い大きな竜である。これには七つの頭と十本の角があって、その頭に七つの冠をかぶっていた(12:3)
その他にも、ギリシャ神話では「ヘラクレス対ラドン」、「カドモスのアレースの泉の戦い」、「イアソーンの金羊毛の戦い」などで英雄によるドラゴン退治が語られており、悪賢い怪物というイメージが強いようです。
西洋でのドラゴンはその容姿などから「竜」と翻訳されたので、東洋の龍とは別物であるとお考えになられたほうがよろしいかと存じます。
東洋の龍
西洋の竜は邪悪な存在でした。でも、神様として奉られたりしていたり、『ドラゴンボール』に出てくる神龍は願いを叶えてくれたり…東洋では必ずしも悪者ではないような気がしませんでしょうか?
東洋の龍は願いを叶えてくれる神様
先述の『ドラゴンボール』に登場する神龍。彼(?)は、ドラゴンボールを7つ集めて呼び出すと、願いを1つ叶えてくれますよね。
実は、東洋における龍はそれと似ているんです。
龍の持っている玉って何なの?
東洋の龍は、よく手に玉を持っています。皆様は、これが何かご存知ですか?
仏教に関する話題になります。この龍が持っている玉は「如意宝珠(にょいほうじゅ・チンターマニ)」と呼ばれる宝玉です。
このチンターマニという言葉を分解すると、
チンター⇒思考
マニ⇒珠
仏教では、「思考を意のままに叶える玉」として認識されています。
何故龍は玉を持っているの?
龍が持っているのが如意宝珠であることはわかりました。では、何故、龍は玉を持っているのでしょうか?
西洋のドラゴンのように自分の欲をただただ叶えるためでしょうか?
違うんです。
如意宝珠は言うなれば、沢山の願いが込められた玉であり、それ自体に願いを叶える力はありません。願いを叶えるには、その玉を仏様の元に持っていく必要があるそうなのです。
そう。龍は地上に住む人々の願いの詰まった玉を、仏様に持っていくために玉を持っているのです。
東洋思想の考えでは、龍はまさしく私達の味方なんですね。
龍はどこへ向かうのか?
先に如意宝珠を仏様の元へ持っていくために玉を手にしていると記載いたしましたが、では、具体的にどこへ持っていくことになっているのでしょうか。
「・・・いや、仏様の場所なんてわからないでしょ」
とお思いになられた方、確かに明確な場所をご提示することはできませんが、皆様にはご紹介したい説があるので、お付き合いいただけないでしょうか?
東洋思想においては「南が上で、北が下」
皆様が普段ご利用になられている地図。おそらく南は下で、北が上になっていると存じます。それは、単に方角を示すためなんです。
仏教などの東洋思想においては本来、「南は上で、北は下」という根底があります。
よく、「南無(なむ)」と言いますよね?お仏壇のCMなどで、聞いたこともあると思います。
この「南無」は絶対的な信仰を唱えるための言葉です。「南に無い」、すなわち「あなた様の上には、誰もいません」という意味を込めて、「南無」と言うんですね。
龍は南へ向かう
龍は空を飛び、南におられる仏様の元へ旅するといわれております。それも、人々のためなのです。この場合の南は方角ではなくて、「上」という意味と捉えたほうがいいかもしれませんね。
そして、仏様に玉を届けるのです。
・・・その後は?どうなるのでしょう。
龍は蛇になる
無事、仏様に玉を届けることができた龍。その後はどうなってしまうのでしょうか。
飛ぶ力を失う
その後、龍は飛ぶ力を失い、地面を這い、北へと戻ります。
飛んでいない龍。すなわち蛇になり、皆様の前に戻ってくるのです。だから、蛇にはいいジンクスが自然と噂されるようになっているのかもしれませんね。
まとめ
だからって、ドラクエで龍を倒すなとは言いません!
あれって西洋のドラゴン・・・?・・・そうですよね?
最後までお読みくださいましてありがとうございました。