本エントリーは怖い話を扱っております。ご注意ください。
皆様は都市伝説で怪物がつぶやくセリフと言ったら何を思い浮かべますか?
「テンソウメツ」
「ぽぽぽぽぽ…」
「信じるか信じないかは、あなた次第です。」
色々あるかと存じます。こんなセリフを呟く怪物をご存知ですか?
「炭酸ナトリウム…」
今回はこの怪物をご紹介したく存じます。
炭酸ナトリウム
以下は海外の都市伝説を私なりに翻訳したものです。
マイケルとの同棲
私がボーイフレンドのマイケルと同棲しているときのことです。お互いの両親の元を離れ、自分達の好きなように日常を送れるようになったと思い、私は幸せでした。二人の家の外見は薄い水色で、各壁面に窓が4つずつありました。とっておきは、ビーチのすぐそばにあること。日没を見たり、ロマンチックな散歩を楽しむことができるんです。
私達はほとんどの家具を運び込み終わっていて、残るはデスクランプや食器などの小物類を揃えるのみでした。
「それで最後?」
私はマイケルに尋ねました。
「ああ、そうだよ!」
彼は自身満々でそう答えました。
「じゃあ、もう休みましょうよ。」
私は言いました。
タイヤ映画『ラバー』
ケーブルテレビとインターネットについては既に設定を済ませてあったので、映画を見たり、友人と連絡を取ったりすることはできました。マイケルは『ラバー』という、タイヤが登場人物を殺めながら暴走する内容のホラー映画を見ようと提案してきました。
「それ、本気?」
私は馬鹿にして言いました。
「そんなおバカ映画みて楽しいの?」
「おう。楽しさだけは保障するぞ。うん。『ミステリーサイエンスシアター3000』みたいに楽しもうよ!」※
彼は続けました。
「それにさ、このDVD借りるために、10ドルも払っちゃったんだよね。」
※『ミステリーサイエンスシアター3000』は、SF映画を見ながら、それにツッコミ入れる西暦3000年の宇宙飛行士の映画です。アメリカ人的には面白いらしいですが、私的にはツッコミの面白さがわかりません。
ミステリー・サイエンス・シアター3000【劇場版】~宇宙水爆戦の巻~【字幕版】 [VHS]
謎のノイズ
…
私達は結局それを見てました。何の問題もありませんでした。テレビの音声にノイズが混じり始めたときまでは。
「たぶん配線の問題だろう。」
マイケルはそう言って、あまりこのノイズを気にしていないようでした。
私達はそれをしばらく無視していました。しかし、だんだんノイズが大きくなってきたんです。
「ねぇ、ほんとにこれ大丈夫なの?なんか、ヤバくない?」
私は言いました。なんだか嫌な予感がして緊張してきました。
「なぁ、僕を信じておくれよ。問題なんてありやしないさ。」
彼は言いました。
「10ドルに品質を期待しちゃいけないよ。」
次第に音のノイズが消えていきました。
「ほらね」
彼は言いました。
「何てことないって言っただろ?ちょっとした不具合だよ」
映画の演出なのか?
映画内の登場人物が話し始めました。…何か変。
彼らの会話が、70代くらいの男性の物と思われる声に邪魔されています。
画面には会話する2人の登場人物。それ以外に誰もいません。
私は映画監督はなぜ修正なり編集なりをしないのだろうと疑問に思いました。
その男性の声は画面の2人の言葉を聞き取ることができないほど、大きくなっていきました。
その声は
「砂…炭酸ナトリウム…方解石…硫酸ナトリウム….」
と言っているように聞こえました。
科学実験のときに使う化学物質のように聞こえました。
「何だよ!?この映画!レビューが低いのは、音の品質が最低だからだな!」
マイケルは怒って言いました。
「10ドル返せ!!」
炭酸ナトリウム
私はその声が言っていたことを忘れることができませんでした。
たしか、中学校の授業でそんな化学物質を使ったような気がしていたんです。
…ガラスだ。そう、私はそれらの物質はガラスを作るための成分であることを思い出したのです。なぜ声はガラスの成分を?
ふと、視線を感じ、窓を見ました。
「ね…ねぇ….あれ、誰?」
私はマイケルに尋ねました。
彼は映画に夢中で見向きもしません。
窓の外の男はひどくボロボロのホームレスのような風貌の男で、目が黒い穴のように見え、そこから血液が流れ出ていました。彼は歯を見せて笑っているようでしたが、その歯は50本以上はあるように見えました。
ホームレスの男は
「炭酸ナトリウム….急いで、活性化….硫酸ナトリウム…..急いで、お前破滅」
と何度も何度も繰り返し、その声はだんだん大きくなっていきます。
私は耳を塞ぎ、地面に倒れこみました。全部夢だと思いました。
…
終焉
騒音が止みました。
私は1メートルほど離れたところに立っている男を見ようと、恐る恐る薄目を開けました。
それはマイケルでした。
彼の胸部は切り開かれていました。彼の心臓はまだ動いていましたが、次第にその動きも止まってしまいました。肺もまだ活動しておりましたが、最後に膨張したあとは、収縮して動かなくなってしまいました。
目は無くなっており、石油のような黒い液体が流れ出ていました。
私は辺りを見渡しましたが、ホームレス風の男はいなくなっていました。
彼は私の幻覚だったとでも言うのでしょうか。
では、誰が私のボーイフレンドを葬ったというのですか?
まとめ
まさか、『ラバー』にそんな曰くが?
いや、家の方でしょうかね。
最後までお読みくださいましてありがとうございます。