本エントリーは怖い話を扱っております。ご注意ください。
映画の本場といってアメリカの「ハリウッド」を思い浮かべる方は少なくないかと存じます。
輝かしいイメージのあるハリウッド。
ハリウッドでは『ゴッドファーザー』や『E.T.』、『羊たちの沈黙』…などなど様々な伝説的な作品が生み出されてきました。
そんな多くの作品を生み出してきたハリウッドでも、呪いで撮影を断念した未完成映画があるといわれております。
その作品が
『Atuk(アトゥック)』
当時の人気スターであった主演男優陣をも襲う呪いがこの『Atuk』という作品にはあるというのです。
今回はハリウッドで最も呪われた映画『Atuk』についてご紹介したく存じます。
目次
『Atuk(アトゥック)』の概要
早速、『Atuk』についてご紹介したく存じます。
原作の小説
実は呪われた映画『Atuk』には原作がございます。
原作は1963年にカナダの作家モルデカイ・リッチラー氏が出した小説『the Incomparable Atuk』。和訳すると「比類無きおじいちゃん」。
「Atuk」という言葉に聞き覚えのない方も多いかと存じますが、それもそのはず。「Atuk」はエスキモー系の民族の方々が使っていらっしゃる「イヌイット語」なのです。
「イヌイット」自体がエスキモー系でも最大の民族と言われております。
この原作『the Incomparable Atuk』では、カナダの先住民であるイヌイットのおじいちゃんが、カナダ最大の都市トロントに引越し、様々なギャップに面白おかしく対応するという内容になっております。
日本語訳こそ発売されていないものの、根強いファンは多く、彼ら曰く「不朽の名作」とのこと。私も読んでみたいところです。
映画権は『オンリー・ユー』の監督
さて1963年に出版された『the Incomparable Atuk』でございますが、この映画権を買い取ったのがノーマン・ジェイソン氏。
彼は『アメリカ上陸作戦』や『屋根の上のバイオリン弾き』、『オンリー・ユー』など様々な名作映画を生み出したハリウッド監督です。
そんなノーマン氏はちょうど『the Incomparable Atuk』の舞台、カナダのトロント出身でした。そこで『the Incomparable Atuk』に惹かれた彼はすぐさま映画権を買収。
1970年代の頭には既に『Atuk』の計画がスタートされました。
映画のプロット
原作の『the Incomparable Atuk』の舞台はカナダのトロント。主人公はイヌイットのおじいさんでした。
しかし、ノーマン氏はそれをハリウッド映画の商業ベースに乗せるためであったのか、大幅に変更します。
ハリウッド版の『Atuk』の舞台をアメリカのニューヨークに変更。主人公はアラスカのイヌイットのおじいさん(名前もAtuk)に変更されたのです。
主な内容としては、
Atukはアラスカの先住民イヌイット。彼はイヌイットたちの暮らす地域でこれまで暮らしてきましたが、長年、外の世界を見ることを夢見ていました。
そんなある日、その地域の外からドキュメンタリーの取材スタッフが訪れます。中でも目を引いたのが、美人キャスターのミシェル・ロス。
Atukはこれを好機と捉えました。なんとAtukは取材スタッフの帰りの飛行機に忍び込んでしまったのです。その後Atukはミシェルに気づかれてしまいますが、彼を途中で降ろすわけにはいかず、結局ニューヨークまで連れて来てしまいます。
その後、Atukはニューヨーク市の再開発を進めている不動産王アレクサンダー・マックイーンに出会い、彼の家族の問題を都会人では考えられないような方法で解決していきます。
しかし、アレクサンダーはAtukを…
と未完成の作品ですが、完成したときに備えて伏せておきます。
『Atuk』関係者を襲った呪い
皆様が最初に本エントリーのタイトルを見たときには、この『Atuk』という映画は怖いホラー映画だとお思いになられたかもしれません。
しかし上記をご覧になられてわかるように、『Atuk』はコメディー映画なのです。
・・・多くの関係者が呪いで命を落としているので、
「ハリウッドで一番笑えないコメディー映画」
として知られているのですがね。
以下に主な『Atuk』の犠牲となった方々をご紹介いたします。
コメディー王「ジョン・ベルーシ」
ハリウッドの伝説の映画『ブルース・ブラザーズ』をご存知の方は多いはず。
『Atuk』では『ブルース・ブラザーズ』で兄のジェイク役を演じた超売れっ子コメディアン「ジョン・ベルーシ」氏に最初のオファーが入りました。
まだ『Atuk』に曰くがなかったので、ジョン・ベルーシ氏は出演を快諾。役は当然主役の「Atuk」です。
しかし、いざ撮影開始というときに、滞在していたハリウッドの超高級ホテル「シャトー・マーモント・ホテル・アンド・バンガローズ」にて、ジョン・ベルーシ氏が急死してしまったのです。
原因は危険薬物の過剰摂取。
確かに『ブルース・ブラザーズ』で共演した故キャリー・フィッシャー氏などと薬物に溺れる生活を送っていたのは事実だったのですが、当時のコメディー王の早すぎる死でした。
享年33歳。
売れっ子コメディアン「サム・キニソン」
とはいえ、当然まだ『Atuk』が呪われているなんて誰も思いもしませんでした。コメディー王が薬物で亡くなったという、ただのスキャンダル交じりの訃報だったのです。
そこで次に『Atuk』の主演オファーがかけられたのが、当時勢いを増していたコメディアン「サム・キニソン」氏。
BON JOVIやエアロスミスなどの大御所ミュージシャンにも慕われ、多くのテレビ番組や映画だけでなく、ミュージックビデオにも出演するイケイケなコメディアンでした。
そんなサム・キニソン氏も『Atuk』の撮影スタジオに向かう途中に交通事故に遭って、お亡くなりになってしまったのです。
享年39歳。
有望な役者「ジョン・キャンディ」
ここでさすがに縁起が悪いと『Atuk』の撮影は一旦中止されました。
とはいえ映画権を買収し、必死に撮影まで漕ぎ着けたノーマン・ジェイソン氏にとって『Atuk』は何とかして世に出したい映画。
数年後、再び『Atuk』のプロジェクトは始動しました。
今回の主演としてオファーされたのが、先のジョン・ベルーシ主演の『ブルース・ブラザーズ』で刑事役を演じた「ジョン・キャンディ」氏。
彼自身、ヒット映画の主演に抜擢されることは少なかったものの、『パラダイス・アーミー』、『ホーム・アローン』などの大ヒット作品には必ず出演する名役者でした。
そしてついに訪れた主演!ジョン・キャンディ氏は快諾してくれました。
しかし、1994年3月4日、突然の心臓発作によりジョン・キャンディ氏も帰らぬ人となってしまったのです。
享年43歳。
才能溢れる若手コメディアン「クリス・ファーレイ」
ジョン・キャンディ氏の訃報を受けて、再び『Atuk』のプロジェクトが凍結されました。
関係者が皆、気味悪がって撮影どころではなかったのです。何より、主演のオファーを受けてくれる人が見つかるはずがございません。
・・・しかし『Atuk』の呪いのほとぼりが冷めた数年後、何故か再び『Atuk』のプロジェクトが動き出したのです。
次の主演オファーがかかったのは「クリス・ファーレイ」氏。
クリス・ファーレイ氏は先のジョン・ベルーシが出演していた伝説のお笑い番組『サタデー・ナイト・ライブ』で一躍人気コメディアンの仲間入りをした才能溢れるコメディアンでした。
彼の主演した『ビバリーヒルズ・ニンジャ』は最近の2008年に続編が公開されていますね。
クリス・ファーレイ氏も『Atuk』の呪いなど気にせず、快諾してくれました。
そして、クリス・ファーレイ氏もジョン・ベルーシ氏と同じように薬物の過剰摂取で帰らぬ人になってしまいました。
享年33歳。
才能も経験も豊かなコメディアン「フィル・ハートマン」
クリス・ファーレイ氏の訃報を受け、またまた『Atuk』のプロジェクトは凍結。
流石にもう『Atuk』の撮影は再開されないだろうとほとんどの人が思っておりました。
・・・しかし、懲りない。『Atuk』のプロジェクトが始まったのです!
次に選ばれたのが、先の『サタデー・ナイト・ライブ』にレギュラー出演するという伝説を持ちながら、ジブリ映画『魔女の宅急便』の英語版でジジの吹き替えを担当したとう様々な経験も持つ「フィル・ハートマン」氏。
・・・とはいえ、さすがに『Atuk』のオファーを受けるはずもなく、一旦は断りました。しかし、スカウトの人がしつこかったのです。何度も、何度も、頭を下げられたフィル・ハートマン氏はついに承諾してしまいました。
そして、なんとフィル・ハートマン氏は妻で女優の「ブリン・ハートマン」氏に拳銃で撃たれて亡くなってしまいました。
享年49歳。
さらにその場で、ブリン・ハートマン氏も自らに銃口を向け、引き金をひくという凄惨な最期を迎えてしまいました。
現在は『Atuk』プロジェクトは凍結されております。
『Atuk』の脚本は紛失?
5名もの有望なハリウッドスターの命を奪った『Atuk』の呪いですが、肝心の『Atuk』の脚本についての情報がないのです。
『Atuk』の台本がどこにあるのか、あるいは、誰に保管されているのか、そもそも現存するのか…
もし『Atuk』の台本が見つかった場合、『Atuk』のプロジェクトが再始動するのではないかという噂もございます。
このエントリーをご覧の方でハリウッド・スターの方は『Atuk』のオファーがかかった場合にはくれぐれもご注意を。
まとめ
ジョン・ベルーシ好きなんだよなぁ。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。