日本人ならば誰もがご存知であろう昔話の1つ「桃太郎」。
物語中、仲間として連れて行く動物として
- イヌ
- サル
- キジ
が登場しますが、皆様は桃太郎が何故彼らを連れて行くことにしたのかご存知でしょうか?
今回は「恐らくこうなのではないか」といわれている理由をご紹介したく存じます。
目次
『桃太郎』あらすじ
昔話の桃太郎。細部まで細かく記述した長編もあれば、子供向けに簡潔に書かれた物もあり、老若男女問わず幅広く親しまれている作品かと存じます。
ただ、なんとなくしか覚えていないという方もいらっしゃるかもしれませんので、ザックリと要点のみを繋げたあらすじを記載させていただきたく存じます。
ももたろう (世界名作ファンタジー21)
桃から生まれた桃太郎
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。
ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、上流から大きな桃が流れてきました。おばあさんはその桃を家に持ち帰り、おじいさんと一緒に食べようと割ってみると、中から赤ん坊が出てきました。
彼らはその子を「桃から生まれた」から「桃太郎」と名付け、大切に育てていきました。
成長した桃太郎
時は過ぎ、桃太郎は立派な青年に。しかしその頃、村は鬼の襲撃に悩まされておりました。鬼の住処である「鬼ヶ島」には、誰も怖くて近づけません。
そこで鬼退治に名乗りを上げたは桃太郎。装備を整え、おばあさん特製のきび団子を腰に付け、「鬼ヶ島」へと向かいました。
きび団子で仲間を釣る
単独で鬼ヶ島へ向かうのは困難でした。そこで、道中で出会った動物を仲間に誘います。しかし彼らは、タダでは動いてくれません。対価としてきび団子を要求してきました。安いもんだときび団子を渡し、
- イヌ
- サル
- キジ
を仲間にすることができた桃太郎は、いよいよ鬼ヶ島に向かいます。
鬼退治
鬼ヶ島に着いた桃太郎は、仲間と共に鬼を退治することに成功します。そして鬼達の宝物庫から宝物をザクザク持って村へと帰りました。
おしまい!
仲間が「イヌ・サル・キジ」である理由
桃太郎は道中でイヌとサルとキジを鬼退治の仲間に加えます。
皆様、一度は疑問に思ったことはございませんか?
「もっと強い動物いるでしょ?」
「そもそも、人間連れて行けよ!」
イヌ・サル・キジが泣いちゃうんでやめてあげてください。彼らには物語では直接語られないちゃんとした役割があるといわれております。
具体的に申し上げますと、彼らは
十二支の中で出会うべくして出会う動物
なのです。詳しくご紹介いたします。
そもそも十二支って?
「僕は○○年生まれだから申年」
このように各年に対応する動物ってございますよね?これを干支と呼ぶのはご存知かと存じます。そしてこの干支は12年周期で一周するのもご存知のはず。具体的には、
子(ねずみ)
丑(うし)
寅(とら)
卯(うさぎ)
辰(たつ)
巳(へび)
午(うま)
未(ひつじ)
申(さる)
酉(とり)
戌(いぬ)
亥(いのしし)
このようになっております。これらをまとめて「十二支」と呼びます。
十二支は様々なものに置き換えられる
ここから少しずつ一般的な常識から離れていきます。
先に述べた「年の周期に十二支が用いられていること」はご存知の方が多いと存じますが、他にも
- 日付
- 時間
- 方位
などなど様々なものに十二支が用いられているのです。その際によく用いられるのが、
このように十二支でぐるっと囲ったような図です。
「あれ?何で北が下にあるの?」
「何で1のネズミが下にあるの?」
と違和感をお持ちになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、東洋の思想においては、「南が上、北が下」という考え方がございます。
わかりやすい例で申し上げるならば、仏教で仏様に手を合わせたときに言う、
「南無」
これは「仏様より上には何も無い」という仏様への敬意を示す言葉なのです。
この考え方については前エントリーでもご紹介しましたが、再度ご紹介いたしました。
ちなみに私自身は特定の宗教団体に属していないということは、念のため申し上げます。
鬼門にあたる十二支
方位の観点
先ほど十二支は「方位」などにも用いられていると申し上げましたが、「方位」と「鬼」を結びつける概念として
「鬼門」
というものがあると存じます。ここでは基本的に危ない方向という認識で大丈夫です。そしてこの鬼門に当たる方向は、方位で言えば「北東」といわれています。
そして、北東を先ほどの図で確認すると、そこにあるのは「丑」と「寅」。十二支的にはまとめて「艮(うしとら)」と記載されます。
時間の観点
さらに、皆様がオカルト好きならばなじみが深い時間帯であろう
「草木も眠る丑三つ時」
この時間帯は午前2時を中心とする約2時間です。「この時間に○○をすると大変な目に遭う」なんていう都市伝説は数多く存在します。それだけ曰くつきの時間帯なんですね。
実はそもそも古来では午前1:00~5:00は霊的に危険な時間帯とされてきました。その中でも最も闇の深く、陰の気が深まる時間が「丑三つ時」なので、一番この言葉が知られているのですね。
つまり艮(うしとら)の時間帯にはこの世ならざる物に出逢いやすいとされているのです。ちなみに、それ以外に昼と夜の境目である黄昏時も危険な時間帯とされておりますが、それは前エントリーをご参照ください。
鬼門の対にあるもの
ここで改めて先ほどの十二支の図をご覧ください。
鬼門が北東に位置する「丑」「寅」です。では、その反対側にある動物はなんでしょうか?
南西に位置する十二支それは「未」「申」です。まとめて「坤(ひつじさる)」と記載します。坤は「裏鬼門」と呼ばれ、鬼門に対抗することのできる方位と言われているのです。
「おいおい、ヒツジなんて、桃太郎とは関係ないじゃないか」
とお思いになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、もう少々ご辛抱を。
実は坤の存在こそ、桃太郎なのです。
「坤の桃太郎」が「艮の鬼ヶ島」に向かうには、数字の順番で見れば右回りをする必要がございますね?
そこで出会う鬼側ではない、陽の気を持つ十二支が「申」「酉」「戌」なのです。
ちなみに、「戌」より後に出会うであろう「亥」「子」「丑」については鬼側、すなわち陰の気を持つ動物とされているので仲間にはできません。
鬼の見た目
ちなみに鬼の見た目も、重要な意味を持っています。
赤鬼、青鬼、黄鬼…etc 色こそ沢山ございますが、
「トラ柄の短パンに、頭には角」
この組み合わせは、典型的な鬼の見た目には欠かせませんよね。
ここで先ほどの鬼門のお話を思い出していただきたいのですが、鬼門に相当するのは北東、すなわち「丑(ウシ)」「寅(トラ)」なんです。
寅→トラ柄
丑→牛のような頭の角
とこのように、鬼のルックスも十二支を象徴しているのです。
まとめ
陰陽論だけでなく、五行論まで考えると、「桃」や「きびだんご」の意味も分かってくるのですが、本エントリーではここまでとさせていただきます。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。